再エネ100%の電車に乗って、環境にやさしい「スマートムーブ」しませんか?
東急電鉄のSDGsトレイン「美しい時代へ号」(出所:東急電鉄)
最近は感染症対策の観点から、勤務先ではテレワーク、学校ではオンライン学習が推奨されていますが、通勤、通学をする日も少しはあるかと思います。
自宅から勤務先や学校へ「移動」する際に、CO2排出量の少ない交通手段「スマートムーブ」をしてみませんか?
鉄道やバスなどの“公共”交通機関は、一度に多くの人を運ぶことで、自家用車と比べてCO2排出量が少ない、エコな交通手段といえます。例えば、東急電鉄「世田谷線」は、鉄道を走らせるための電力をCO2が排出される化石燃料を使っていない再生可能エネルギーで100%まかなっています。
その東急電鉄について、東急株式会社の中村恒次さんにお話しを聞きました。
中村 恒次(なかむら こうじ)
東急株式会社 社長室 ESG推進グループ 企画担当 課長。
東急グループは、1918年に渋沢栄一らが立ち上げた田園都市株式会社を源流とし、その鉄道部門を1922年に目黒蒲田電鉄株式会社として分離・設立したことが東急電鉄の始まり。創業以来100年にわたり、鉄道を中心としたまちづくりの会社として、新たな事業やサービスに取り組んでいる。
――世田谷線は、再エネ100%の運行をしていますね?
世田谷線は、東京都の世田谷区を走る運行距離約5km、10駅を結ぶ路線です。1969年5月に、旧玉川線から三軒茶屋~下高井戸間が独立して、名称が世田谷線となりました。東京では数少ない路面電車の一つで、沿線には、招き猫発祥の豪徳寺など、名所や旧所も多くあり、地元の人だけでなく観光客のみなさんにも愛されています。
2019年3月に再エネ100%による運行を開始した世田谷線(出所:東急電鉄)
世田谷線再エネ100%運行は、株式会社東急パワーサプライと東北電力株式会社の協力のもと、2019年3月から開始しました。電気は、東北電力グループの水力発電と地熱発電によるものを使用しています。
もともと鉄道は、他の移動手段とくらべてCO2排出量が少ないですが、再エネ100%の電力を採用することで、CO2排出量ゼロの運行が可能になりました。脱炭素・循環型社会の課題解決に向けた取り組みとして、運行開始以来、多くの取材や見学の依頼を受けています。
乗客のみなさんにも好評で、新聞の投書欄に「普段、通学に使っている世田谷線が環境にやさしくなることで、地域で愛される電車から全国で愛される電車になるだろう」という声が寄せられました。
――スマートムーブを加速させる他に取り組んでいることはありますか?
2020年9月より、東急電鉄の東横線、田園都市線、世田谷線と相互直通区間でSDGs(持続可能な開発目標)の普及を目指すラッピング列車「SDGsトレイン」が走っています。もともとは、関西の阪急電鉄と阪神電車が始めた取り組みです。
東横線と田園都市線は、東急パワーサプライのカーボン・オフセットを利用することで、CO2排出量実質ゼロで運行しています。世田谷線は、もちろん再エネ100%です。
各路線1編成の運行ですが、SDGsの17のゴールのカラーを使ったモザイク模様がとても目を引きます。
――その他、ゼロカーボンに関する取り組みは、どのようなものがありますか?
緑化活動やまちづくり活動に取り組む団体を支援する「みど*リンク」アクションを行っています。
これまで支援してきた活動は、花壇の手入れや野菜の栽培など。郵便局の屋上を整備してミツバチを育て、その蜂蜜で商品づくりを目指す、といった面白い取り組みもありました。植物はCO2を吸収するので、ゼロカーボンにつながります。
また、2021年5月~10月には、東急線の定期利用者を対象に「TuyTuy(ツイツイ)」という環境配慮型サブスクリプションサービスの実証実験を行いました。傘やモバイルバッテリーなどのシェアリングや、フードロスを減らすためのパンのお取り寄せなど、さまざまな環境負荷低減につながるサービスを用意しました。サービスを通じて身近にサーキュラーエコノミー(循環型経済)を体験してもらい、好評でした。
普段、何気なく選択している交通手段。公共交通機関を使う、カーシェアリングを行う、自転車や徒歩へ見直すと健康にも良いなど、脱炭素の観点からも賢く利用してみませんか。
環境省では気候変動という地球規模の課題の解決、ひいては2050年カーボンニュートラル(2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)の実現に向けて、一人一人のライフスタイルに合わせてできる具体的な脱炭素な行動を「ゼロカーボンアクション30」として紹介しています。
詳しくは以下のサイトをクリック♪
脱炭素社会の実現には、一人ひとりのライフスタイルの転換が重要です。
「ゼロカーボンアクション30」にできるところから取り組んでみましょう!
「CO2の少ない交通手段を選ぼう!」
→「15 スマートムーブ」をクリック!
移動手段の脱炭素の取り組みについてご覧いただけます。