皆さんは、エコドライブの普及促進と、その技術習得を目指す「全日本エコドライブチャンピオンシップ」という競技をご存知でしょうか?この競技は、全日本学生自動車連盟が主催し、加盟校の自動車部が参加する学生の部と、企業・団体が参加する一般の部で構成されています。10年目の今年は8月22日に鈴鹿サーキットで開催され、60チームが燃費・タイム等を競いました。今回は、この大会で優勝を果たしたチームYOKOHAMAの一員で元F1ドライバーの片山右京さんにエコドライブについて語っていただきました。(取材日:10月5日)
記者:片山さんは、いつからこの大会に参戦され、どのような成績だったのでしょうか?
片山氏:僕は4年前に初めてこの大会に参加しました。その時に優勝してから、一昨年は3位、昨年は8位と順位が落ちてしまいました。これは、みなさんの中でエコドライブが一般的になってきて、学生たちがどんどん強くなってきたからです。昨年の大会ではエアコンを入れて走り、燃費が悪くなってしまったので、今年は絶対に勝とうと思い、規則を読んだり主催者に詳しくルールを確認したりして、作戦をしっかりと立てました。
記者:F1でも燃費を意識することが必要と聞きましたが?
片山氏:F1では、使える燃料が1レース100kgと決まっていて、燃料のマネージメントが当たり前になっています。ガソリンをたくさん積むとラップタイムが遅くなりますが、燃料による重量を減らすと加速が良くなり、ブレーキの利きも良くなります。また、タイヤにも優しいので、早く走る上で燃料を減らすことは大切です。レースは昔と違い、早いマシーンを開発するだけではなく、メーカーが環境技術を開発し、環境に良いエンジンを作ることも重要な要素のひとつとなっています。過去に比べるとマシーンのスピードが速くなってタイムも上がっているのに、エネルギー効率や燃焼効率も良くなっています。F1では、3年程前からハイブリッドシステムを搭載したマシーンを使用していますが、燃費の向上のために「リフト・アンド・コースト」といった運転テクニックも使用します。これはアクセルを全開にした後に、早目に足を離して惰性で走るテクニックです。
記者:片山右京さんにとってのエコドライブの真髄を教えてください!
片山氏:「エコドライブは具体的にどのように運転したらいいの?」と人から聞かれることがよくあります。僕にとってのエコドライブの真髄は、助手席に誰か大切な人を乗せているような運転だと思います。もし大切な人が同乗していれば、急ブレーキを踏まないし、スムーズにハンドルを切ります。子供が風邪を引いて病院に連れていくときに、カーブでタイヤを鳴らす人はいませんよね?エコドライブに専門知識は必要ないのですが、このようなちょっとした心がけによって、燃費が良くなるのです。一人で取り組むだけではなく、地域、国、そして世界の皆で取り組むことによって未来の環境に大きく貢献することができます。
記者:最後に、エコドライブチャンピオンシップ優勝者としてのメッセージをお願いします!
片山氏:僕は電気自動車やハイブリッドカーでレースをする時代が来るとは思いもしませんでした。それでもレース中に感じる、ライバルとの差に耐えるジレンマは、F1とまったく同じです。いつか、エコドライブチャンピオンシップをスポーツとして文化に取り入れたいと思っています。エコドライブについて若いみんなで研究して、仲間と話し合って友達にどんどん広めてくれれば自然と浸透していくと思います。これからもみんなで取り組んでいきたいと思います。近頃は誰でも地球温暖化や異常気象を知っている時代になりました。しかし、10年後の未来を想像し実際に行動に移している人は多くありません。未来のために何ができるか、みんなで考えていきましょう。地球温暖化問題を解決するには技術開発も大切ですが、エコドライブを実践してみたり、電気を消してみたりするなど、一人一人の心がけが大きな力になるという意識をもつことも大切だと思います。
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