安全運転のプロフェッショナルが揃う企業といえばどのような企業を思い浮かべますか?
今回は、タクシー会社のエコドライブへの取り組みについてご紹介します!
エコドライブや環境負荷の軽減に積極的に取り組む2社のタクシー会社にお話を伺いました。
まず、平成25年度エコドライブ活動コンクールにて優秀賞を受賞した「つばめ自動車株式会社(名古屋市)」の天野清美社長にお話を伺いました。
Q つばめ自動車のエコドライブへの取り組み内容について教えてください。
A 平成17年よりエコドライブ活動を開始し、空車走行時には「かたつむり走行」という独自の運転方法を積極的に推進しています。「かたつむり走行」は左車線をゆっくりとエコドライブ走行をすることで、安全運転かつ、環境負荷を軽減することにつながっています。タクシー事業者なので、空車時の流し営業時には、すぐに止まれるゆっくりとしたスピードで走行することで、お客様がタクシーを捕まえやすくなる取り組みでもあります。
また、交通事故の詳細分析結果を活用してエコドライブ安全運転の教育活動を平成17年から始めたところ、前年比で保険を適用した事故が3割減少しました。
教育内容としては、急発進・急加速・急ブレーキの根絶などの、エコドライブ10のすすめの徹底を目指して乗務員へ指導をしています。
最新の取り組みとしては、配車効率を高めることで環境負荷軽減を目指しています。位置情報の分析、実車空車の分析データ等を組み合わせて、30分後の需要を予測する取り組みを始める予定です。最適配車ルートを使用して最小車両数で配車をすることにより効率化が進み、環境負荷も軽減され、さらにはお客様の利便性も高まることも期待しています。
Q ドライバーの皆さんが個々に取り組むエコドライブへの取り組みは何かありますか。
A エコドライブなどの運転技術に優れ、2年以上無事故・無違反のドライバーが集まるつばめタクシーの精鋭部隊「チーム・エクセレント」があります。
他のドライバーの手本となる精鋭部隊「チーム・エクセレント」を目指して日々安全運転・エコドライブに取り組んでもらっています。
また、8年程前からプレイングマネージャー制度を採用し、プレイングマネージャーを同乗させて運転手の問題点やクセを直接確認する実車教習を行っています。本人だけではなかなか気づかないことが多いのです。第3者がチェックすると運転のちょっとした思い込みも是正できます。運転のクセに気付き、改善することによりエコドライブを徹底して実践することができます。
Q エコドライブに取り組んだ結果、社内ではどのような変化がありましたか。
A 重大事故が大幅に減少しました。またドライバーの安全運転への意識も変わりました。空車時に限らず実車時もタクシードライバーは基本的にお客様を乗せして目的地までお送りすることが仕事です。利用者の皆様が思っているよりも、できるだけ早く目的地に到着しなければならないというプレッシャーがあります。でも、実はそれは利用者の実際の満足度につながっていなくて、8割のお客様は安全を求めています。2割の方は早く目的地へ到着することを求めますが、それでもスピードを出すということはプロでありません。車の流れに沿って安全に走行すれば、お客様は納得します。エコドライブを実施することによりお客様に安全を提供することができ、お客様の満足度にもつながっています。
次に、東京都内最大規模のタクシー会社である「日本交通株式会社(東京都)」の管理部野村課長にお話をお伺いしました。
Q 日本交通でのエコドライブへの取り組みを教えてください。
A 弊社で使用しているタクシー車両は、液化石油ガス(LPG)を燃料としている低公害車です。CO2排出量が同一排気量エンジン・同一燃料供給方式のガソリンエンジンに比較して約12~15%、ディーゼルエンジンに比較しても約6%少なくなっています。
さらに、プリウスを2005年から導入し始め、自社でLPGタンクを付けてLPG車両に改造しています。通常のタクシーですと燃料満タンで約500km走行できますが、改造したプリウスLPG版ですと約1600km~1800kmも走行できるので、環境負荷を減らして長距離走行することができます。
また、乗務員へエコドライブを推奨しています。環境省の「チームマイナス6%」に参加した2008年度から、アイドリング時間・急加速回数・急減速回数・最高速度などをデータ化して管理して、こちらのデータを基に乗務員へ個別指導を行っています。
Q データを使用した個別指導するようになって、どのような変化がありましたか。
A データ管理を開始した2008年には、1日の乗務(約16時間)の中で、空車時(お客様が乗車していないとき)アイドリング時間が平均5時間半ありましたが、最近では平均2時間半以下まで減り、54%削減できました。急加速は取り組み開始時には1日平均26回もありましたが現在では1日平均2回まで減り、92%削減できました。元々は安全運転のためにデータを取っていましたが、安全運転がエコドライブにつながっています。この1日の運転データ記録を基に、乗務員の個別指導を行っています。
Q 乗務員の皆さんが個別に取り組むエコドライブは何かありますか。
A ハイグレードタクシー「黒タク」の乗務員を目指して日々安全運転、エコドライブに努めています。黒タク乗務員になるには、審査をパスし、特別な講習を受講しなければいけません。資格は1年ごとに更新なので、毎年審査をパスする必要があります。
また、妊婦向けの「陣痛タクシー」サービスではより一層の安全運転が求められます。安全のためにエコドライブを推奨し、エコドライブを実施することでお客様への安全や乗り心地の良さにつながっていると思います。
お客様への安全、環境負荷の軽減につながるエコドライブに取り組む2社のタクシー会社のお話はいかがでしたでしょうか。
あなたもこの機会にエコドライブを始めて、同乗者へ安全な乗り心地を提供してみませんか?
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