秋の味覚を楽しもう♪ 料理コラムニスト山本ゆりさんのレシピで、サステナブルで健康な食生活
秋はサンマに栗ご飯、冬は味の染みた大根のあったかいおでん……想像するだけで口元がゆるんでしまう「旬」の食材を使った美味しい料理。
最も美味しく栄養価の高い季節に採れる旬の食材は、私たちの体にとって嬉しいだけではありません。身近で手に入る旬の食材を選ぶこと(地産地消・旬産旬消)は、生産・輸送・保存にかかるエネルギー消費量を低く抑えることや、地域の活性化にもつながると考えられています。
おうち時間が長くなり、料理をする機会も増える中、「今日は何を作ろうかな」と悩んだり、「もっと楽に作れたらいいな」と思う日もありますよね。自分や家族や環境にも優しく、無理なく楽しく料理をする方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、「どこにでもある材料で、誰にでもできる料理を載せています」という言葉で始まるブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」で人気を集め、レシピ本やエッセイも数多く執筆している料理コラムニスト山本ゆりさんに、旬の野菜を使った料理を中心にお話を聞きました。
身近な材料で手軽にできるレシピも3つご紹介いただきましたので、記事の最後に掲載しています。ぜひ皆さんも作ってみてください♪
山本ゆり(やまもと ゆり)
料理コラムニスト。ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」や、レシピ本、エッセイを執筆。Twitter、Instagramのフォロワー数はどちらも約110万人に及ぶ。著書に「syunkonカフェごはん」シリーズ1~7(累計700万部)、「おしゃべりな人見知り」など多数。――料理を無理なく楽しむには?
「みんなでおうち快適化チャレンジ」の『人にも環境にも優しいことを無理なく楽しくやって行こう』という考え方にとても共感しています。私が料理で大切にしていることも、『無理なく楽しく』ということです。
料理は、毎日とても頑張って、栄養も考えて、と続けていると疲れてしまうこともありますよね。そういうときは、子どもたちや家族と遊びの延長のように作るのもよいですし、無理せずにお惣菜を買ったり、最近は半調理されている食材もあるので、そういったものを使うのも賛成です。無理のない方法で料理をするのが、毎日楽しく続けられるコツだと思います。
また、時短で「楽に」作りたいという人が多いと思いますが、それも賛成です。でも、それだけに縛られるのではなく、たまには自分の好きな食器を買ってきれいに盛り付けてみるとか、休みの日には凝ったものを作ってテンションを上げるとか、「楽しい」ことも取り入れて、料理を義務にしないのがよいのではないでしょうか。
「楽に」することと「楽しい」こと、どちらも取り入れるのが、料理を無理なく楽しむコツだと考えています。
――旬の野菜を美味しく手軽に味わうには?
身近なお店で手に入る旬の食材を使うことは、人にも環境にも優しい選択だと思います。旬の野菜は味が濃いので、味付けをシンプルにしても美味しく食べられます。手軽な調理でも、栄養価の高い野菜を取ることができるのです。
例えば、夏はオクラを電子レンジでチンして、だし醤油をかけたり、ナスを焼いて醤油とカツオ節をかけたり。秋は、きのこをチンしてポン酢をかけるだけでも美味しく食べられます。また、地域の直売所みたいなところに子どもと買い物に行って、食材に興味が持てるようにするのも、より家族みんなで食事を楽しむことができそうでいいなあと思っています。
料理は毎日のことですから、皮まで食べても美味しい野菜はそのまま調理して食材から出るごみを減らすなど、少しずつでも一人一人が意識すれば、より環境にも配慮できるのではないでしょうか。皮をむく手間も省けて一石二鳥です(笑)。
編集注:皮をむいてもごみとして捨てずに、コンポスターや生ごみ処理器を使い、家庭菜園の肥料に利用することなどができます!
ゼロカーボンアクション30―日常生活における脱炭素行動と暮らしにおけるメリット
――電子レンジで料理をするメリットは?
私は電子レンジを使ったレシピを多く紹介しています。特に、主菜を作ったあとに、「もう一品、副菜を増やしたいな」というときなど、電子レンジを使ったレシピなら手軽にできるのでおススメです。
電子レンジを使うと、食べたいときに食べたい量を短時間で加熱できて、こまめに料理しやすいです。鍋にたくさん作り過ぎると結局は食べきれなくなってしまう、という人には食品ロスの防止にもなります。また、直火からは目が離せませんが、電子レンジでチンする間は子どもの相手ができる、などのメリットもあります。
大きな鍋で長時間の調理をするのと比べて、加熱時間が短くて済むのでCO2の排出量を減らせたり、直火を使わず部屋が熱くなりにくいので、夏は台所の冷房の温度をそれほど下げなくても済むなど環境にもよいと言われていますね。
電子レンジを使ったレシピには、「夏休みに小学生の子どもでも作ることができました」とか、一人暮らしの若い方からご年配の方まで、「便利で役に立った」という感想を多くいただいています。かぼちゃの煮物なんかも、私はもう電子レンジでしか作っていません。調理時間が短いので、調味料や水も少なくて済みますし、焦げることもなくておススメです。
編集注:野菜の下ごしらえをガスコンロから電子レンジに変更した場合、CO2削減量12.2kg、年間約990円の節約になるというデータも!
経済産業省 省エネレッスン 電子レンジ(外部サイトへリンク)
旬の野菜を使った山本さんのレシピ
手軽に旬の野菜を味わうことができる山本さんのレシピを3つご紹介します。
全て電子レンジで調理できますので、ぜひ、皆さんも作ってみてください♪
※加熱後は、ラップや容器が熱くなりますのでご注意ください。
※電子レンジのワット数は600Wを使用しています。
かぼちゃの煮物
かぼちゃ 1/8個(200g)
A:砂糖、みりん 各小さじ2、醤油 大さじ1/2、水 大さじ4
- 耐熱容器にAを入れて混ぜる。
- 3、4センチ角に切ったかぼちゃを、電子レンジがフラット型なら皮を下、ターンテーブル型なら皮を上にして入れ、ラップをふわっとかける。電子レンジで6〜7分加熱する。
- 電子レンジから取り出し、かぼちゃを裏返して冷ます。
きのこチーズチャウダー
しめじ 1パック(100g。200g入りのもあるので、その場合半袋)、ベーコン 1枚、小麦粉 大さじ1と1/2 A:バターまたはマーガリン10g、顆粒コンソメスープの素大さじ1/2、牛乳300ml、ピザ用チーズ大さじ2、塩、こしょう各少々
作り方- しめじはほぐす。ベーコンは1センチ幅に切る。
- 耐熱容器に1を入れて小麦粉を絡め、Aを加えて混ぜる。バターは塊のまま載せる。
- 容器の両端をふさがないようにふわっとラップをかけ、電子レンジで7分加熱する。
- 取り出してよく混ぜ(とろみが少ない場合はラップをはずして追加で1、2分加熱)、チーズを加え、塩、こしょうで味を調える。
※ここに缶詰のあさりを汁ごと加えればクラムチャウダーにもなり、おススメです。
ふろふき大根のとろみひき肉あんかけ
<ふろふき大根>
大根 9センチぐらい(約300g)
A:水 1/2カップ(100ml)、顆粒和風だしの素、みりん 各小さじ1
<とろみひき肉あん>
B:豚ひき肉 50g、砂糖、片栗粉 各小さじ1、しょうゆ 小さじ2、水 大さじ4、あれば大葉 適量
- 大根は3、4センチの長さに切る。厚めに皮をむき(やわらかく仕上がります)、十字に隠し包丁(切りこみ)をいれる。
- 耐熱容器にAを入れて混ぜ、大根をいれる。だしが溶けていなくてもよい。途中で裏返すため、大根は下半分がだしに浸かっている状態で大丈夫。
- ふわっとラップをかけて電子レンジで約6分加熱する。取り出して裏返し、再び6分加熱。スッと爪楊枝が通るやわらかさになっていたら取り出し、あら熱をとる。薄味ですがこれだけでも、またお味噌をつけても美味しく食べられる。
作り方 <とろみひき肉あん>
- 耐熱ボウルにBを入れて菜箸でほぐすように混ぜ、ふわっとラップをかけて電子レンジで約2分加熱。取り出してよく混ぜる。
※水分が少なくなってしまったら、少々お湯を足して混ぜる。とろみが足りなければ水溶き片栗粉を少々足し、1分ほど加熱し混ぜる。 - 1を大根にかける。好みで大葉の細切をのせて完成。