暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイル
「ウォームビズ」実験レポート寒い季節を少しでも快適に! 暮らしに取り入れやすい方法で、家の中の寒い場所に断熱対策をしてみました。|ウォームビズ(WARM BIZ)

前回、おうちで簡単にできる断熱対策として、お風呂場の手作り内窓を中心に断熱対策を行い、その実験結果をご紹介しました。今回も、前回に引き続きエコロジーをテーマにしたウェブメディア『森ノオト』の協力のもと、玄関や廊下、トイレ、リビングやキッチンまで、断熱対策に取り組み、どのくらいの効果があるかを検証してみました。

実験レポート!

<レポートした人> 坂本カオルさん
坂本さんが暮らしているのは川崎市麻生区の築25年のマンション。 内装はリフォーム済みだが、日当たりの悪い玄関は夏も冬も一番冷えているとのこと。

今回、対象となったのは、築25年のマンションの我が家と前回も登場した横浜市青葉区の山田あさかさんの一軒家。どちらも内装はリフォームされていますが、窓や玄関は断熱対策のないまま。今回はアウトドア派にはおなじみ、レジャーシートや保温保冷バッグの素材としてもよく使われる銀マットを利用した対策を中心に試してみました。

まずは、あさかさんのお家で玄関への断熱対策です。

銀マットを使った対策  


土間の上に銀マットを敷き、その上に25mmの白木の合板を敷き詰めた
木材は、今回は自宅の棚を作った際の廃材を利用したが、市販のすのこ等でも代用可能

放射温度計で測定すると、敷く前と後では表面の温度は2度ほど上がる
この日、玄関を出たすぐ外の床面温度は5℃前後、玄関内部のタイル面は7℃前後、銀マットと木材を敷くと9℃前後になった

あさかさんは、「石の玄関土間は冷たすぎて靴を履いていても底冷えするような冷たさを感じたけれど、銀マットと木を敷いたらあたたかい。子どもたちは、ついつい靴下のまま降りてしまうほど。玄関に対するイメージが少し変わったかもしれない」と教えてくれました。

北側で寒いトイレの対策として、断熱内窓の設置とトイレマット下にも銀マットを敷きました。狭い空間なので、内窓をはめるだけでもかなりあたたかさを感じるようになったそうですが、銀マットでさらに足元から奪われる熱もカット。


トイレマットの形に合わせて銀マットをカット

リビングでは、ホットカーペットの下にも銀マットを敷きました。ホットカーペットは、テレビを見る時に付けて見終えたら消すという使い方をしたそうですが、「消した後もあたたかさが持続すると感じた」とあさかさん。余熱を保てるので、少し早めに消すように心がけました。


銀マットを敷くことで、床へ熱が逃げるのを防ぐ
※使用する際には、取扱説明書をよくお読みの上、安全面にもご注意願います

我が家でも、キッチンマットの下、テーブルや作業机の下など、足元から冷えるなと思う場所に銀マットを敷いてみると、やはりあたたかく感じます。床に直に座って作業したりする時にも、冷たさを感じません。

ホットカーペットだけでなく、通常のカーペットの下でも、何も敷いていない時の床の表面温度が13℃の時、銀マットを敷くと15℃〜16℃になり、さらに、足先から熱が奪われないので快適でした。

春先の肌寒さを感じる日にも、ついつい暖房に手が伸びてしまうことがありますが、銀マットの対策をすれば、暖房に頼らずに過ごせるかもしれません。


牧さんの家のカーテン

前回ご紹介した、牧さんのお家では、洗面所やトイレの窓に薄いアルミシートと布で断熱カーテンを作りましたが、銀マットで代用することも可能です。北側の部屋など遮光してよい窓を、銀マットカーテンで覆うと、寒さが和らぎました。

廊下の寒さ対策 

光を取り入れたい場所では、銀マットの代わりに、隙間風防止用として市販されているカーテンを利用することもできます。我が家では、玄関から洗面・風呂場、キッチン、リビングへと続く廊下の玄関側にカーテンを取りつけました。


元々取り付けていたビニールのカーテンが汚れてしまっていたため、リメイクすることに
今回は着なくなった洋服を素材にカーテンを作り、ビニールのカーテンと縫い合わせた
(お好きな布や市販の布カーテンでも良い)

ビニールと布の二重カーテン
おしゃれな印象になっただけでなく、布を合わせたことで重さが出てビニールだけの時よりもまくれにくい!

リビングのドアはなるべく締め切っているものの、子どもたちが開けたままにしてしまうことが多々あり、リビングのあたたかい空気が玄関まで漏れていることが多かった我が家。カーテンがあることでリビングのあたたかさが保たれ、カーテンの内側にあるキッチンやリビング、洗面・お風呂の間を家事で動き回る際にも、急激な温度変化を感じることなくからだへの負担が減り、楽に行えることを実感しています。

リビング窓の断熱対策

そして、リビングと、その横にある和室では、窓の断熱対策をしました。全ての窓に気泡緩衝材の断熱シートを貼ります。これはシートを窓の大きさに合わせて切って、水を吹き付けて貼るだけの手軽さです。


明るさは保たれ、外からの目隠し効果もある

リビング窓には、透明度の高いタイプを使用

今回実験のために、一度設置したリビングの断熱シートを外して過ごしてみましたが、窓の近くに行くといつもより寒い! そして、日の落ち始める午後3時過ぎからレースカーテンを引くようにしているのですが、カーテンを引くのが少しでも遅いと途端に窓側からひんやりとしてくるのです。断熱シートが熱を奪うのを防いでいることを改めて体感しました。

ちなみに、あさかさんのお家のトイレや玄関にとりつけた内窓は、前回ご紹介したものと同じ作り方ですが(※お風呂篇で紹介した内窓の作り方)、窓枠を白くペイントしたり、切り紙模様をつけて家全体の雰囲気と合わせてアレンジもしました。


白い窓枠に合わせて内窓の枠も白くペイントしたら、トイレ全体が明るい雰囲気に

プラダン部分に切り紙を貼って遊び心をプラスすると詩的な雰囲気に
工夫次第で断熱対策がより楽しくなる

実験結果

体感ではどちらの家でもあたたかさを感じることができましたが、実際の温度はどうだったでしょうか。断熱対策の有無の違いを確かめるために、温度計測を行いました。


玄関では、室温と足元の温度を計測

玄関での計測結果、あさかさんのお家では断熱対策をした場合としない場合で室温と足元の温度の差は、平均して0.8℃も縮まりました。

また、我が家の玄関と廊下の温度差は、カーテンを閉めると約1.0℃もカーテン内部の廊下側があたたかいということが分かりました。リビング内のあたたかさを保てていると言えると思います。家の中での急激な温度差がなくなることは、ヒートショックの予防にもつながります。断熱カーテンは、突っ張り棒で簡単に取り付けられるので、手軽にできて効果の高い対策と言えるでしょう。

計測した日の外気温の差があるため、単純に室温の差を比べることが難しいのですが、我が家では同じくらいの外気温の時を比べてみると、リビング、廊下、玄関の全てで対策を行った場合に室温が高いことが分かります。(外気温のデータは横浜市北部に近い、府中市での計測結果を使用)


我が家での計測結果と外気温

あさかさんのお家でも同様に比べてみたところ、リビングでは差は見られませんでしたが、トイレと玄関では断熱対策を行った場合に室温が高いことが分かりました。


あさかさんの家での計測結果と外気温

最後に、暖房の使い方の変化による電気使用量についても報告します。

我が家の1月の電気使用量ですが、なんと昨年と比べて46パーセントも下がりました。昨年は息子が0歳で室内にいる時間が長く、エアコンの使用量が大きかったことと、夜間につけていたオイルヒーターを今年は途中から付けなくなったことが最も大きな原因だろうと考えられます。ですが、オイルヒーターを使わなくなったのは、思い返すと廊下にカーテンをつけた頃からなのです。夜は、リビングのエアコンを切っていますが、廊下のカーテンにより熱が逃げるのが遅くなり、リビング横の寝室も昨年より寒くないのだと考えられます。

あさかさんは3年前にマンションから現在の一軒家に引っ越してきましたが、引っ越した当初、冬場の電気代が2万円を超えてしまいびっくりしたそうです。その当時は、エアコンを28℃設定して出かけるごとにまめに消し、またお子さんが小さかったため夜間にヒーターを使用していたそうですが、昨年からは、エアコンを低めの設定※にして、短時間の外出時には設定温度を更に下げてスイッチを切らずに外出するやり方に変えました。すると、電気使用量が前年比で38%も減少し、電気代も1万円以下まで下がったということでした。

※『WARM BIZ』(ウォームビズ)では暖房時の室内温度を20℃にして快適に過ごすライフスタイルを推奨しています。

寒い場所を楽しく断熱対策して、あたたかい熱が逃げるのを防ぐこと、そして、電気の使い方を見直すことで、電気の使用量を減らすことができ、環境にもお財布にも優しいエコな暮らしにつながることが確認できた今回の実験でした。

写真:樽井利和

ちょっとの工夫で住まいがよりあたたかく、快適に!

2回に分けてご紹介した、ウォームビズに役立つおうちでできる断熱対策実験レポート。いずれも簡単な対策ではありましたが、断熱の効果を実感できました。あなたも住まいをよりあたたかく快適に過ごせるひと工夫を、できるところからチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

※簡易な作業でも施工には十分注意願います。 場合によってはご近所の工務店等に相談してもいいかもしれません。

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