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脱炭素社会の実現に向けた「都市間連携事業」とは何か?

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カテゴリ
国際連携

都市間連携事業とは

都市間連携事業は、日本の自治体と途上国のパートナー都市が連携し、民間企業とも協働してパートナー都市の脱炭素化に資する案件の発掘・形成調査や、制度構築支援、人材育成などの協力事業をパッケージで展開するものです。

都市間連携事業の概要図

都市にはさまざまなインフラが集中していることから、これらの設備に優れた脱炭素な技術・製品・システムを導入し、展開していくことは、都市の脱炭素化に役立つだけでなく、都市の環境改善やエネルギー供給など、コベネフィット効果が期待できます。

都市間連携事業の「出口戦略」のイメージ

都市間連携事業に参画するメリット

本事業に参画する主体は、国内外におけるネットワークの構築・拡大や知名度の向上、グローバル人材の育成機会とする等、様々なメリットや効果を期待できます。その他、以下のようなメリットが考えられます。

「都市間連携事業に参画するメリット」の一覧表
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都市間連携事業 連携事例

都市間連携事業 参画都市一覧(2013~2022年度)

13カ国45都市・地域 日本20自治体が参画 (※下記画像内の赤字部分は2022年度案件)

「都市間連携事業 参画都市一覧(2013~2022年度)」の一覧表
「都市間連携事業 参画都市一覧(2013~2022年度)」の一覧表の画像を拡大表示
「都市間連携事業 参画都市一覧(2013~2022年度)」のマップ
「都市間連携事業 参画都市一覧(2013~2022年度)」のマップの画像を拡大表示

都市間連携事業から形成されたJCM案件

「都市間連携事業から形成されたJCM案件」の国別の一覧表
「都市間連携事業から形成されたJCM案件」の国別の一覧表の画像を拡大表示
「都市間連携事業から形成されたJCM案件」の採択年度別の件数と対象の各国のマップ
「都市間連携事業から形成されたJCM案件」の採択年度別の件数と対象の各国のマップの画像を拡大表示

都市間連携事業 成果事例

成果事例①

  • 我が国が先進的に取リ組むゼロカーボンシティの取組を海外の都市にも横展開し、「脱炭素ドミノ」を引き起こす。
  • 海外との都市間連携事業により、日本の制度、取組等を海外ニーズに沿った形で移転し、海外都市のカーボンニュートラル宣言と具体的な対策実施を促進する。
制度移転によるゼロカーボン宣言(東京都-クアラルンプール市)
東京都・企業群とクアラルンプール市との都市間連携のイメージ
協力内容
  • 東京都のグリーンビルディング制度の移転
  • KL市のゼロカーボンシナリオの作成
    ⇒KL市が2050年ゼロカーボンを宣言(脱炭素ドミノの第1号案件)
共同検討による環境インフラ導入(横浜市-ダナン市)
横浜市・IGESとダナン市・計画投資局との都市間連携のイメージ。2013年4月に、持続可能な都市発展に向けた協力覚書を交わした
協力内容
  • 水道事業における省エネ設備導入の検討
    ⇒ JCMによる省エネインフラの導入(ダナン市水道公社の高効率ポンプ導入)
    ⇒ 他都市への成果の面的展開(ホーチミン市浄水場の取水ポンプの省エネ化)

成果事例②

  • 現地との共創を進める上では、より現場に近く地場企業を有する都市間の連携を進めることも効果的である。
  • 環境省では、2013年度から脱炭素社会実現のための都市間連携事業を実施した。これまで、ASEANを中心に13か国45都市・地域と日本の20自治体が参画している。
  • 大阪市は、海外展開に関心を有する市内企業を中心に Team OSAKA ネットワークを2016年から立ち上げている。ホーチミン市等のアジア都市と連携し、脱炭素に向けた協力と合わせて、市内企業と現地企業のマッチングを推進している。その結果、二国間クレジット制度(JCM)を活用したインフラ設備導入を多数実現している。
大阪市-ホーチミン市の都市間連携事業 実施体制(2022年度)
大阪市とホーチミン市との都市間連携事業の実施体制(2022年度)を示した概要図
大阪市とホーチミン市との都市間連携事業の実施体制(2022年度)を示した概要図の画像を拡大表示
近年のインフラ導入実績(JCMを活用したもの)
  • ホテル及びオフィスへの高効率エアコン及び空冷チラーの導入(ジョンソンコントロールズ日立空調)
  • 食品工場への高効率ボイラシステムの導入(エースコック)
  • ホテルへの高効率空調機の導入(ジョンソンコントロールズ日立空調)
  • オフィスビルへの調光調色型高効率LED照明の導入(遠藤照明)
  • 工業団地への9.8MW屋根置き太陽光発電システムの導入(大阪ガス)

成果事例③(脱炭素インフラ導入に至った事例)

大阪市-ホーチミン市 調光調色型高効率LED照明 (2021年度JCM設備補助事業採択案件)
  • ホーチミン市内の既設オフィスビルに調光調色型高効率LED照明を導入。
  • 国内トップクラスの高性能を有するLED照明器具を無線コントロールシステムと組み合わせ、調光及び調色機能を自動制御し、省エネ効果を発揮。
ホーチミン市内の既設オフィスビルに、無線コントロールシステムと組み合わせたLED照明を導入し、調光及び調色機能を自動制御しているイメージ

現在、案件形成中の事例

川崎市-インドネシア・ジャカルタ州 EVバス充電最適化
  • ジャカルタのEVバス運行におけるバス充電の最適化を目指し、IoTデバイスとEMSの導入に関する事業化実現調査を実施中。
大阪市-タイEEC(東部経済回廊) スマートシティ開発
  • EEC地域のスマートシティ開発における多様な付加価値創造を目指し、ICT/IoT、5G設備の設置等に関する事業化実現調査を実施中。

その他の取り組み

脱炭素都市国際フォーラム2023

  • 「日米グローバル地方ゼロカーボン促進イニシアティブ」に基づき、「脱炭素都市国際フォーラム2023」を3月1日に日米で共催した。
  • 都市の先進事例(循環経済・ネイチャーポジティブ経済とのマルチベネフィット、デジタル活用を含む)を共有した。また、G7とU7との対話の重要性を確認し、国地方協働促進に関するG7・U7での議論をG20・U20に繋ぎ、COP28等に向けて取組の機運を世界的に高めていくことを確認した。

開催概要

日時
2023年3月1日(水)
言語
日本語・英語(同時通訳)
方式
第1部 対面とオンラインのハイブリッド、第2部、第3部 オンラインのみ
会場
東京ガーデンテラス 紀尾井カンファレンス(第1部のみ)
主催
日本国 環境省、米国 気候変動問題担当 大統領特使室
共催
ICLEI(持続可能な都市と地域を目指す自治体協議会)、IGES(地球環境 戦略研究機関)
協力
UNFCCC(気候変動枠組条約)事務局、Urban7(U7、アーバン・セブン)、指定都市市長会
 オンラインで行われた「脱炭素都市国際フォーラム2023」の様子 その1
 オンラインで行われた「脱炭素都市国際フォーラム2023」の様子 その2

プログラム

第1部 9:30~12:00(JST)
  • 開会挨拶
    山田 美樹 日本国環境副大臣
    ニーナ・ハチジャン 米国サブナショナル外交特別代表大使(オンライン)
  • 基調講演 都市の重要性
  • ハイレベルセッション1:都市の変革と中央政府の役割
  • ハイレベルセッション2:都市によるコミットメント
  • パネルディスカッション
第2部 15:00~17:30(JST)
持続可能な都市ハイレベルセミナー
  • 開会挨拶
  • 基調講演:都市の持続可能性を高めるための都市間連携の有効性
  • セッション1:循環経済とのシナジー
  • セッション2:ネイチャーポジティブ経済とのシナジー
  • サマリーセッション
第3部 18:00~20:30(JST)
  • 基調講演:都市の重要性
  • パラレルセッション1-1:脱炭素とレジリエンス・強靭化
  • パラレルセッション1-2:脱炭素とデジタル
  • セッション2:国際協力・都市間連携
  • サマリーセッション
※プログラム・当日の動画は 脱炭素都市国際フォーラム2023 公式サイトに掲載

日米グローバル地方ゼロカーボン促進イニシアティブ

  • 日米は、2021年4月に日米首脳間で合意した「日米気候パートナーシップ」に基づき、第三国、特にインド太平洋諸国における脱炭素社会への移行の加速化に関する協力を進めることに合意した。
  • その具体的な取組の1つとして、日米は、COP26ジャパンパビリオンのサイドイベントにて、「日米グローバル地方ゼロカーボン促進イニシアティブ」の立ち上げを表明した。
  • 2022年6月の日米首脳会談の際にまとめた「日米気候パートナーシップ」ファクトシートにおいて、地方自治体の行動を加速するための連携を前進させることに合意した。

概要

1.目的
グローバルレベルで、地方(subnational)の気候行動を支援し、加速するための日米協力を推進する。
2.メンバー
日本国環境省、米国気候問題担当大統領特使室
3.活動
(1)知見共有
  • 第2回脱炭素都市国際フォーラムを2022年始めに招集するために活動する。
  • 多くの都市、国際機関等を招待する。
(2)政策策定・実行支援
  • 第三国における地方の脱炭素・適応に関する政策の策定・実行に対する支援を模索する。
  • 国境を越える「脱炭素ドミノ効果」の事例を増やす。
  • その際、既存のフレームワークを活用し、シナジーを生み出す。
    ⇒脱炭素社会実現のための都市間連携事業(日本国環境省)
    ⇒米国ASEANスマートシティ・パートナーシップ
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