COP(コップ)ってなに? 気候変動に関するCOPを紹介
みなさんはCOP(コップ)と呼ばれる国際会議をご存じでしょうか。ニュースなどで耳にしたことがある一方で、詳しいことはよくわからないという方も多いかもしれません。
今回はそのような方に向けて、COPの概要や意義、関連する取組をご紹介します。
COP(コップ)ってなに?
COPとは
COP(コップ)とは、締約国会議(Conference of the Parties)の略で、多くの国際条約で加盟国の最高決定機関として設置されています。ここでは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)*のCOPをご紹介します。
このCOPは、198か国・機関が参加する気候変動に関する最大の国際会議であり、毎年開催されています。
COPには、各国の政府、学者、NGO、ビジネスリーダーなど、さまざまなステークホルダーが参加し、多様なテーマに関するイベントやセッションが行われ、気候変動に関する最新の情報が交換され、議論が行われます。
また、締約国から提出された排出インベントリー(大気中に放出された温室効果ガスの量を計算したもの)をもとに、条約の目的達成に向けた締約国の対策の効果や進捗状況を評価することもCOPの大切な役割です。
COPは約2週間にわたって開催され、首相級・閣僚級の会合が開かれ、また個別のテーマについての議論が行われます。
* 1992年5月に採択され、1994年3月に発効した気候変動に関する国際枠組み。大気中の温室効果ガス濃度を安定させること目的に、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約である。
気候変動COPの意義
UNFCCC-COPでは、世界中の国々が集まって、気候変動に関する問題や取組について話し合い、具体的な行動計画の策定や国際的な合意がなされます。気候変動問題という国境の無い問題の解決には、地球規模での対処が必要です。このため、多国間での合意形成を進める場であるCOPは非常に大きな役割を果たしています。
COPではどんなことが行われてきたの?
ここでは、COPでの主要なできごとを取り上げながら、これまでCOPでどのようなことが行われてきたのかを紹介します。
COPのはじまり(地球サミット)
COPの歴史は、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットにさかのぼります。
地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の破壊や生物多様性の喪失などの環境問題が深刻化し、世界的規模での早急な対策の必要性が指摘されたことを受けて地球サミットは開催されました。
本サミットで国連気候変動枠組条約が採択され、1994年に発効されました。この条約を批准した国は、この条約の「締約国」と呼ばれます。
条約が発効した翌年の1995年からCOPが定期的に開催されるようになりました。
京都議定書
1997年に開催されたCOP3で採択された京都議定書は、先進国が温室効果ガスの排出量を削減することを約束する国際的な枠組みです。この議定書では、先進国は2012年までに排出量を削減する目標を設定することが求められ、気候変動に対する国際的な取組の歴史的な転換点となりました。
パリ協定
2015年のCOP21では採択されたパリ協定は、京都議定書に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際的な枠組みです。気候変動に関する初の法的拘束力のある国際的な条約であり、2020年以降も世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く、1.5度に抑えるよう努力することが決まりました。
これに向けて、各締約国は、2030年までに自国の温室効果ガス排出量を削減する目標を設定し、それに基づいて具体的な行動を取ることが求められています。
また、開発途上国への資金支援や技術移転などの支援についても盛り込まれており、気候変動に対する国際的な取組の新たな基盤となっています。
近年の主な議題
近年のCOPの主要な議題としては、下記のようなものが挙げられます。
COP28でも、これらのテーマを含むさまざまな論点が議論される予定です。
関連する取組(イニシアティブ)の拡大
COPに関連して様々なイニシアティブが発足・活動し、気候変動対策を加速させるために重要な役割を果たしています。イニシアティブとは、気候変動対策に向けて、政府や民間部門、国際機関などが協力して実施する取組や活動のことです。
COP27において日本が主導して立ち上げたイニシアティブを例にとると、以下のようなものがあります。
そのほか、日本政府はCOP27期間中に立ち上げられた気候変動に関する以下の国際イニシアティブに参加を表明しました。
COPでは交渉以外にどんなことをしているの?
COPではこれまでご紹介してきた様々な交渉のほかにも、各国がパビリオンと呼ばれる展示やセミナーのためのスペースを設け、研究機関等や事業の成果などを発表するサイドイベントを開催しています。
「ジャパン・パビリオン」での発信
日本は、日本の優れた製品・サービスや気候変動への取組を世界に向けて発信することを目的に、展示やイベントを行う「ジャパン・パビリオン」を設置しています。
日本の企業等による脱炭素や気候変動適応技術等の展示や、セミナーの開催等を通した国内外の脱炭素移行に資する技術や取組等の積極的な発信を行い、日本の取組をアピールしています。
COP27におけるジャパン・パビリオンの詳細についてはこちらのトピックス「COP27において「ジャパン・パビリオン」を開催します! ~日本が誇る脱炭素技術・気候変動適応技術の発信~」でご紹介しています。
最後に
以上、本記事では国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOPについてご紹介してきました。
本会合では次回以降も、気候変動に関して、みなさんの日々の暮らしに関係する重要な議論や意思決定が行われます。ぜひ今後の動きにもご注目ください。