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COP(コップ)ってなに? 気候変動に関するCOPを紹介

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国際連携

みなさんはCOP(コップ)と呼ばれる国際会議をご存じでしょうか。ニュースなどで耳にしたことがある一方で、詳しいことはよくわからないという方も多いかもしれません。
今回はそのような方に向けて、COPの概要や意義、関連する取組をご紹介します。

COP27クロージングプレナリーの様子(UNFCCC事務局HPより引用)

COP(コップ)ってなに?

COPとは

COP(コップ)とは、締約国会議(Conference of the Parties)の略で、多くの国際条約で加盟国の最高決定機関として設置されています。ここでは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)*のCOPをご紹介します。

このCOPは、198か国・機関が参加する気候変動に関する最大の国際会議であり、毎年開催されています。
COPには、各国の政府、学者、NGO、ビジネスリーダーなど、さまざまなステークホルダーが参加し、多様なテーマに関するイベントやセッションが行われ、気候変動に関する最新の情報が交換され、議論が行われます。

また、締約国から提出された排出インベントリー(大気中に放出された温室効果ガスの量を計算したもの)をもとに、条約の目的達成に向けた締約国の対策の効果や進捗状況を評価することもCOPの大切な役割です。

COPは約2週間にわたって開催され、首相級・閣僚級の会合が開かれ、また個別のテーマについての議論が行われます。

* 1992年5月に採択され、1994年3月に発効した気候変動に関する国際枠組み。大気中の温室効果ガス濃度を安定させること目的に、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約である。

COP期間中の流れ - COP27の例では、2022年11月6日の開会から同月20日までの15日間(延長2日・休日1日)にわたって開催され、ワールドリーダーズサミット等の首脳級の会合から始まり、個別のテーマについての議論、事務方交渉、閣僚級会合などが行われた。
COP期間中の流れ(COP27の例)

気候変動COPの意義

UNFCCC-COPでは、世界中の国々が集まって、気候変動に関する問題や取組について話し合い、具体的な行動計画の策定や国際的な合意がなされます。気候変動問題という国境の無い問題の解決には、地球規模での対処が必要です。このため、多国間での合意形成を進める場であるCOPは非常に大きな役割を果たしています。

COPではどんなことが行われてきたの?

ここでは、COPでの主要なできごとを取り上げながら、これまでCOPでどのようなことが行われてきたのかを紹介します。

「COPでの主要なできごと」の年表のイメージ
COPでの主要なできごと

COPのはじまり(地球サミット)

COPの歴史は、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットにさかのぼります。
地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の破壊や生物多様性の喪失などの環境問題が深刻化し、世界的規模での早急な対策の必要性が指摘されたことを受けて地球サミットは開催されました。

本サミットで国連気候変動枠組条約が採択され、1994年に発効されました。この条約を批准した国は、この条約の「締約国」と呼ばれます。
条約が発効した翌年の1995年からCOPが定期的に開催されるようになりました。

京都議定書

1997年に開催されたCOP3で採択された京都議定書は、先進国が温室効果ガスの排出量を削減することを約束する国際的な枠組みです。この議定書では、先進国は2012年までに排出量を削減する目標を設定することが求められ、気候変動に対する国際的な取組の歴史的な転換点となりました。

パリ協定

2015年のCOP21では採択されたパリ協定は、京都議定書に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際的な枠組みです。気候変動に関する初の法的拘束力のある国際的な条約であり、2020年以降も世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く、1.5度に抑えるよう努力することが決まりました。

これに向けて、各締約国は、2030年までに自国の温室効果ガス排出量を削減する目標を設定し、それに基づいて具体的な行動を取ることが求められています。
また、開発途上国への資金支援や技術移転などの支援についても盛り込まれており、気候変動に対する国際的な取組の新たな基盤となっています。

近年の主な議題

近年のCOPの主要な議題としては、下記のようなものが挙げられます。
COP28でも、これらのテーマを含むさまざまな論点が議論される予定です。

グローバル・ストックテイク(GST)の実施
グローバル・ストックテイクとはパリ協定の目的及び長期的な目標の達成に向けた世界全体の進捗状況を定期的に確認し、各国がそれぞれの取組を強化するための情報提供を行う仕組みのことであり、2023年から5年おきに実施されます。COP28は初のグローバル・ストックテイクが実施される場となります。
緩和(Mitigation)
気候変動の緩和とは、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を減らす取組を指します。COP27では、「緩和作業計画(2030年までの緩和の野心と実施を向上するための作業計画)」が策定され、1.5℃目標達成の重要性、計画期間を 2026 年までとして毎年議題として取り上げて進捗を確認すること(2026年に期間延長の要否を検討)、全てのセクターや分野横断的事項(パリ協定6条(市場メカニズム)の活用含む)等について対象とすること、最低年2回のワークショップの開催と報告という一連のサイクル、非政府主体の関与、緩和作業計画の成果を閣僚級ラウンドテーブルで毎年議論すること等が盛り込まれました。
適応(Adaptation)
気候変動の適応とは、すでに生じている、あるいは将来予測される気候変動の影響による被害を回避・軽減させる取り組みを指します。例えば、火災、洪水、干ばつ、より暑い日や寒い日、海面上昇のリスクが高まるなどの影響が想定されます。UNFCCCは、現在と未来の気候リスクに対応するためには、官民のあらゆる資金源を活用し、適応資金の規模を大幅に拡大する必要があることを明確にしています。
気候資金(Climate Finance)
先進国は、開発途上国が気候変動の影響に対する緩和と適応策を実施するための努力を支援するために資金を供与することが求められています。COP27では、気候資金について、長期気候資金、2025年以降の新規気候資金合同数値目標、資金に関する常設委員会に関する事項、資金メカニズムに関する事項、ロス&ダメージの資金面での措置に関する事項等の幅広い議題について交渉がされました。
パリ協定第6条(市場メカニズム)
パリ協定では、すべての国が自国の温室効果ガスの排出削減目標(Nationally Determined Contribution:NDC)等を定めることが規定されています。一方で、世界の温室効果ガスの排出削減を効率的に進めるため、パリ協定6条には、排出を減らした量を国際的に移転する「市場メカニズム」が規定されています。COP26ではパリ協定6条の実施指針が採択され、COP27ではその実施に必要となる報告様式、インフラ、レビュー等の詳細な規則が採択されました。
損失と損害(Loss and Damage)
気候変動は、熱帯低気圧や砂漠化、海面上昇などの異常気象事象を通じて、自然や人間に対して「広範囲にわたる悪影響とそれに関連した損失と損害」を引き起こしており、その損失と損害は、気候変動の進行に伴いさらに増加するといわれています。気候変動の悪影響に最も脆弱な国々やコミュニティーに向けた、資金提供や技術支援を強化することが求められています。

関連する取組(イニシアティブ)の拡大

COPに関連して様々なイニシアティブが発足・活動し、気候変動対策を加速させるために重要な役割を果たしています。イニシアティブとは、気候変動対策に向けて、政府や民間部門、国際機関などが協力して実施する取組や活動のことです。

COP27において日本が主導して立ち上げたイニシアティブを例にとると、以下のようなものがあります。

パリ協定6条実施パートナーシップ
COP27においては、日本が主導して、パリ協定6条(市場メカニズム)ルールの理解促進や研修の実施等、各国の能力構築を支援する「パリ協定6条実施パートナーシップ」を立ち上げました。2023年9月20日時点で69か国34機関が参加しています。同パートナーシップにおいては、各国、国際機関等と連携しつつ、パリ協定6条に沿った市場メカニズムを世界的に拡大し、質の高い炭素市場を構築し、世界の温室効果ガスの更なる削減に貢献していきます。
ロス&ダメージ支援パッケージ
国際社会と協力しつつ、ロス&ダメージに対する支援を包括的に提供していくため、事前防災から災害支援・災害リスク保険までの技術的支援を包括的に提供する「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害(ロス&ダメージ)支援パッケージ」を公表しました。
本パッケージの一環として、新たに追加的に、アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブを立ち上げました。

そのほか、日本政府はCOP27期間中に立ち上げられた気候変動に関する以下の国際イニシアティブに参加を表明しました。

  • 気候適応の実施に関する国連世界早期警戒イニシアティブ(世界気象機関(WMO)主導)
  • 森林・気候のリーダーズ・パートナーシップ(FCLP: Forests and Climate Leaders' Partnership)(英国主導)
  • 気候のためのマングローブ・アライアンス(MAC)(アラブ首長国連邦・インドネシア主導)
  • IDDI (Industrial Deep Decarbonization Initiative)(産業の脱炭素化に関するイニシアティブ)(UNIDO主導)
  • Joint Declaration from Energy Importers and Exporters on Reducing Greenhouse Gas Emissions from Fossil Fuels(化石燃料からのGHGの排出削減に取り組むイニシアティブ)(米国主導)
  • FAST (Food and Agriculture for Sustainable Transformation Initiative) (持続的な変革のための食料・農業に関するイニシアティブ)(議長国エジプト主導)
  • GOWA (Global Offshore Wind Energy Alliance)(洋上風力に係る官民プラットフォームであるグローバル洋上風力アライアンス)(デンマーク主導)
  • 政府のネットゼロ・イニシアティブ(米国主導)
  • CDR Launchpad(DACや鉱物化等の技術を通じたネットゼロを達成することを目的)(米国主導)
  • 次世代のための持続的な都市の強靭性 (SURGe)(議長国エジプト・UN Habitat主導)

COPでは交渉以外にどんなことをしているの?

COPではこれまでご紹介してきた様々な交渉のほかにも、各国がパビリオンと呼ばれる展示やセミナーのためのスペースを設け、研究機関等や事業の成果などを発表するサイドイベントを開催しています。

「ジャパン・パビリオン」での発信

日本は、日本の優れた製品・サービスや気候変動への取組を世界に向けて発信することを目的に、展示やイベントを行う「ジャパン・パビリオン」を設置しています。

日本の企業等による脱炭素や気候変動適応技術等の展示や、セミナーの開催等を通した国内外の脱炭素移行に資する技術や取組等の積極的な発信を行い、日本の取組をアピールしています。

ジャパン・パビリオンにおける技術展示の様子

COP27におけるジャパン・パビリオンの詳細についてはこちらのトピックス「COP27において「ジャパン・パビリオン」を開催します! ~日本が誇る脱炭素技術・気候変動適応技術の発信~」でご紹介しています。

最後に

以上、本記事では国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOPについてご紹介してきました。
本会合では次回以降も、気候変動に関して、みなさんの日々の暮らしに関係する重要な議論や意思決定が行われます。ぜひ今後の動きにもご注目ください。

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