暖房時の室温を20℃にして快適に過ごすライフスタイル「ウォームビズ」。今回は「窓の断熱」について紹介します。冬の暖房効率を上げるためには、窓の断熱性を高めることがとても大切です。オフィスビルなどでも窓の断熱は大切ですが、今回は「住宅」における窓の断熱テクニックについてクローズアップ。
熱は建物のさまざまなところから出入りしますが、開口部、つまり「窓」はもっとも大きな熱の出入り口になっています。平成11年、25年などに住宅の「省エネルギー基準」が改正されて、最近の住宅の断熱性能は概ね向上しています。でも、たとえば上の図のように、平成4年の省エネ基準に沿って建てられた戸建て住宅の場合だと、冬は約50%の熱が窓から逃げてしまいます。窓から逃げる熱が多ければ多いほど、いくらエアコンなどの暖房器具を使用しても室内は暖まりにくく、暖房費がかさんでしまいます。
また、窓の断熱性能を高めることのメリットは、冬の暖房だけではありません。上のイラストでも紹介した日本建材・住宅設備産業協会が公開しているデータによると、夏の暑さが室内に入り込んでくる割合は、なんと窓(開口部)が71%にもなります。つまり窓の断熱性能を高めることは、冬は暖かく夏は涼しく快適に過ごすために役立ち、冬の暖房費ばかりでなく夏の冷房費も抑えることにもつながるのです。
窓の断熱性能が十分かどうかを判断する目安が「結露」の有無です。寒い朝など、室内側の窓の表面温度と室内の温度差が大きくなると、室内の暖かい空気が冷えた窓ガラスに触れて冷やされ、空気に含まれた水分が「結露」となって、窓や窓枠を濡らしてしまいます。これは、窓の断熱性能が低いために、外気の冷たさが窓の内側にまで伝わってしまうことで起きる現象です。
結露によって窓枠などに垂れた水分は、窓枠の木材などを傷める原因になるばかりでなく、カビやダニが発生する要因にもなりやすく、居住者の健康にとっても好ましくありません。お住まいの家の窓に「結露」ができている場合、早めに窓の断熱性を改善するのがおすすめです。
では、窓の断熱性能を高めるために、具体的にはどんな方法があるのでしょう。
最も効果的なのは、窓のリフォームです。窓のリフォーム方法は下記に挙げたようにいくつかあり、住まいの構造や諸条件によって選ぶべき方法が異なります。工務店やリフォーム会社、住宅設備メーカーなどに相談して、お住まいのお宅にあった方法を選びましょう。
現在使用しているサッシなどの窓枠を活用して、ガラスだけを複層ガラス(ペアガラス)など断熱性能の高いガラスに交換する方法です。ただし、窓枠から伝わる熱を止めることはできないので、窓全体を交換するのに比べると効果は限られています。
現在ある窓の内側に、もうひとつの窓を増設する方法です。増設する窓に断熱性能の高い窓を選ぶことで、さらに効果が期待できます。
現状の窓を撤去して、断熱性能の高い窓に窓枠ごと交換する方法です。近年、日本国内でも環境意識の高まりとともに、さまざまなメーカーから断熱性能の優れたサッシなどが発売されています。
こうしたリフォームには費用がかかりますが、省エネ改修工事をした場合の減税制度(住宅特定改修特別税額控除)や自治体による補助金の交付など、公的な制度も用意されています。適用には条件がありますから、事前に施工を依頼する業者や自治体などに相談して、上手に活用できるとよいですね。
参照: 国税庁ウェブサイト
「現在の住まいが賃貸住宅である」、「費用的に厳しい」など、さまざまな理由でリフォームができないケースもあるでしょう。
そんな時は、ホームセンターなどで市販されている窓用の「断熱(結露防止)シート」を活用するのもおすすめです。手頃な値段で、柄入りなどバリエーションも豊富なため、住まいの条件に合わせて好みのものを選べます。リフォームに比べて効果は限定的になりますが、手軽に試せるところがいいですね。
さらに、今の窓にカーテンがなかったり、薄いカーテンしか掛けていないような場合には、カーテンやロールスクリーンを設置したり、それらを断熱性の高いものに替えるだけでも、窓の断熱を改善できるケースがあります。
住まいの断熱性能が低いと室内温度が低くなりがちで、入浴後など体感温度の急激な変化でからだに悪影響をもたらす「ヒートショック」の要因にもなってしまいます。ウォームビズをきっかけに「窓の断熱」を改善して、快適な暮らしを楽しみましょう!
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