温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法等が2024年度から変わります(2/2)
地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく、温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度における、算定対象活動及び算定方法が、2024年度報告(2023年度実績報告)から全面的に見直されます。また、報告方法等にも一部変更が生じます。
そこで本稿では、温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度による2024年度報告からの変更点について、その概要と具体的な見直し内容をご紹介します。
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の概要等は、下記リンク先よりご覧ください。
2024年度報告(2023年度実績報告)からの主な変更点(2/2)
②廃棄物の原燃料使用の位置づけの変更
2022年に行われた、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)の改正によってエネルギーの定義が非化石エネルギーに拡大したことを受け、廃棄物の燃料利用又は廃棄物燃料の使用により発生する二酸化炭素がエネルギー起源CO2に位置付けられました。
これに伴い、特定排出事業者において行われた算定排出量算定期間におけるエネルギー起源CO2に係る報告について、様式第1 第1表に「廃棄物の原燃料使用に伴うエネルギー起源CO2」の欄を新設しました。
エネルギー起源CO2と非エネルギー起源CO2の区別について
廃棄物の焼却において燃料利用を主目的とする場合と、廃棄物由来の燃料を使用する場合はエネルギー起源CO2として、その他の場合は非エネルギー起源CO2として報告します。
燃料としての廃棄物の利用、廃棄物由来の燃料(RPF、RDF等)の使用、熱回収を伴う廃棄物の焼却の場合は、調整後排出量への計上は不要です。
廃棄物の焼却方法 | CO2排出量の計上先 (基礎排出量) |
調整後排出量における扱い |
---|---|---|
燃料としての廃棄物の利用 | エネ起CO2 | 計上不要 |
廃棄物由来の燃料(RPF、RDF等)の使用 | ||
熱回収を伴う廃棄物の焼却 | 非エネ起CO2 | 計上不要 |
廃棄物の単純焼却 | 計上必要 |
③電気及び熱に係る証書の使用の上限の設定
調整後温室効果ガス排出量の調整における、特定排出者が購入した証書による国内認証排出削減量の控除について、電力に係る証書は、他人から供給された電気の使用に伴う二酸化炭素排出量、熱に係る証書は、他人から供給された熱の使用に伴う二酸化炭素排出量が上限となります。
これを踏まえて、それぞれを特定排出者の説明事項の一つに追加するとともに、様式第1 第5表の3として「国内認証排出削減量のうち、グリーンエネルギー二酸化炭素削減相当量に係る情報」を新設しました。
④都市ガス及び熱の事業者別係数の導入
ガス事業者及び熱供給事業者について、電気事業者と同様に基礎排出係数・調整後排出係数を温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度のウェブサイトにて公表します。また、料金メニュー別の排出係数も併せて、報告年度の6月中に公表します。
事業者別の係数が公表されている都市ガス及び熱を利用する際には、公表された係数に基づき排出量を計算する必要があることから、様式第1 第3表に、都市ガス・他人から供給された熱の使用に伴う温室効果ガス算定排出量について、基礎排出係数・調整後排出係数を記載する欄を新設しました。
また、事業所としての報告も同様に対応する必要があることから、様式第1 別紙第2表に、都市ガス及び他人から供給された熱の使用に伴う二酸化炭素の温室効果ガス算定排出量の算定に用いた係数を記載する欄を新設しました。