令和8年度 環境省予算の概算要求内容について

令和8年度の環境省予算の概算要求が公表されました。
予算要求のうち、令和8年度のエネルギー対策特別会計(エネ特)を活用した環境省の温室効果ガス削減施策について、施策の目的と概要を解説します。
施策の目的
我が国は、地球温暖化対策計画で示された2030年度、2035年度、2040年度の各目標や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素に向けた取組・投資やイノベーションを加速させ、排出削減と経済成長の同時実現につなげていきます。
その実現のために環境省の果たすべき役割は、地域の活性化・強靭化、国民のライフスタイルの転換などを通じた、カーボンニュートラルを実現する経済・社会への変革や、世界的な排出削減への貢献などを各省連携の下で推進することであると考えています。このため、環境省では、エネルギー対策特別会計を活用して、温室効果ガスの排出削減のための施策に取り組んでいます。
施策の概要
令和8年度のエネルギー対策特別会計の予算要求は、総額 3,128億円、うち、GX経済移行債を活用したGX推進対策費が 939億円となっています。
令和8年度要求では、炭素中立型経済社会実現に向けた取組として、4つの柱を掲げています。

第1の柱「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域・くらしの創造」
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を拡充して脱炭素先行地域づくりや脱炭素の基盤となる重点対策を全国で進めるとともに、地域における脱炭素に向けた取組の実施体制構築のための積極支援を行い、脱炭素と地域課題の同時解決を図ります。
また、国民運動「デコ活」を全国に展開することで、グリーンイノベーションに対する意識の向上・行動変容を促進するほか、住宅・建築物などの脱炭素化の取組を促進することにより、住みやすく、暮らしやすい自立・分散型の地域を実現していきます。


第2の柱「バリューチェーン・サプライチェーン全体の脱炭素移行の促進」
民間投資も活用し、特にバリューチェーンを構成する中小企業の脱炭素経営・脱炭素化を促すことにより、バリューチェーン全体の脱炭素化を目指すとともに、商用車等の電動化やゼロエミッション船等の建造など、地域・くらしを支える物流・交通や、資源循環のサプライチェーン全体の脱炭素への移行を促進することによって、グリーンな経済システムの構築につなげます。

第3の柱「地域・くらしの脱炭素化の基盤となる先導技術実証と情報基盤等整備」
データセンター等デジタル基盤の脱炭素化に向けた環境配慮技術や革新的な素材・触媒などの脱炭素技術の開発・実証を推進し、地域・くらしや社会インフラの脱炭素移行に必要な先導技術の社会実装を加速化するとともに、脱炭素化に不可欠な情報基盤を整備していきます。

第4の柱「世界の脱炭素移行への包括支援による国際展開・国際貢献」
パリ協定第6条に沿って実施している二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)や温室効果ガス観測技術衛星(GOSATシリーズ)による排出量検証等を通じて、途上国等の脱炭素移行支援を進め、「アジア・ゼロエミッション共同体」構想の実現に貢献するなど、世界の排出削減に主導的役割を果たします。
