SMART MOVE

時差出勤で気づいた、大切なもの。

新しい生活様式の下で、動き始めた新年。

朝9時半。家を出て、近所のカフェでメールをチェック。

新しい年が明け、世の中は動き始めた。ただ正直なところ、気持ちは少々コロナ疲れ。いつ自分が感染してもおかしくはない。大学卒業後から東京で働いているが、この正月は初めて実家に帰省しなかった。しかし、不安ばかり抱えていても何かが良くなるわけじゃない。今、大切なのは何よりも健康と、心に余裕を持つこと。渋谷のIT系企業に勤める自分は、今朝は会社が推奨してくれている“時差出勤”を活用し、家の近くのカフェで少しのんびりしてから出社することにした。

時差通勤のオフピーク時間帯を、路線毎に調べることができる。

仕事のメールをチェックし終わり美味しいコーヒーで一服するうちに、いつも乗車する京王井の頭線の混雑状況がどんなものなのか気になった。ちょっと調べてみると、井の頭線渋谷駅の2020年12月22日時点の調査で、やはり普段の自分の通勤時間帯である7:30〜9:00台が最も混雑するよう。その後10:00頃からはだいぶ落ち着くみたいだ。余裕を持って会社に行くなら、最寄りの井の頭公園駅にだいたい10:30くらいが丁度いい。

京王グループホームページより

ちなみに夕方の帰宅時間帯も調べてみると、18:30〜19:00前後が最も混雑しているよう。興味深いのは、同じ電車でも混雑しやすい車両があるということ。これを知っておくと、ちょっとした安心感にもなる。ただ、今日の帰りはどのみち少し遅い時間になるかも。ならばせめてもと、あと30分くらい井の頭公園の中を散策してみることにした。

京王グループホームページより

こころに余裕を持つと、気づくことがある。

近くに住んでいるのに、朝はただ忙しく通り過ぎるだけで、夜は暗いので足早に避けて通る。そんな場所だった平日の井の頭公園が、午前中の穏やかな時間に歩いてみると、実際はこんなにも癒される場所だったとは知らなかった。

休日は人が多くて少し騒がしいのだけれど、平日のこの時間はのんびりと池のほとりを散歩する人、ランニングやウォーキングをする人など、とても健やかな空気が流れている。鳥のさえずりがあちこちから聞こえて、歩くたびに足元の落ち葉が心地よい音を立てる。キレイに掃除されている歩道を歩きながら、都会の中でこれほどの自然を感じながら歩く贅沢に心が癒されていった。

ふと我に返って腕時計を確かめると、いつの間にかもう10:30。そろそろ行かなくちゃ。少し名残惜しい気持ちで、足早に井の頭公園駅へと足を向けた。

普段の当たり前の日常で、ちょっと意識するだけでできること。

井の頭公園駅に着くと人影はまばらで、通勤時間帯なら混雑する改札口付近もスイスイ通れる。なんだか普段より駅が広く、隅々まで見える感じがして、キレイに保たれた駅舎がとても心地良い。

改札を通ってホームに立つ。井の頭公園駅のホームは公園の緑に包まれて、鳥の声があちこちから聞こえてくる。風で木々がざわめくと、落ち葉が紙吹雪のように線路の上を舞ってゆく。そんな景色が普段の時間の中にもあったなんて、これまで全く気付くことができなかった。

ふと、目に留まるポスターがあった。

メッセージは、「あなたも、次のSTEPへ。〜いつもの一歩を、未来につづく一歩へ〜」。
これまで環境について深く考えたことはなかった。しかし、時差出勤を通じて今感じていた、自分の周りにある大切な環境は、できることなら守っていきたいと思った。普段の小さなことで、それに少しでも貢献できるのならやったほうがいいに決まっている。

電車に乗ると、やはりこの時間帯は乗車率がかなり少ない。他の乗客から充分距離をとって席に座ると、先程の「スマートムーブ」についてケータイで検索してみた。
スマートムーブとは、日常生活のさまざまな移動手段を工夫し、CO2排出量をできるだけ削減しようという取り組み。そこで知ったのは、公共交通機関を利用すること自体も、実はとてもエコな移動方法であること。そして日本が掲げるCO2削減目標に向けて本当にたくさんの取り組みがあることを知った。大事なのは、普段の日常でちょっと意識を向けること。それだけで、環境に良い行動はたくさんあるということを改めて知ることができた。

健康に注意するように、環境を守ることにも注意したい。

11:00近くに渋谷駅に降り立つと、多少は人がちらほらするものの、通勤ラッシュ時間のような人混みはそこにはない。

普段、毎日通っている渋谷駅なのに、今日はやけに広く大きく感じられる。

今、誰しもがみんな、それぞれに新しい生活様式の中で健康に気を配り、お互いに感染を広げないよう注意し努力している。みんなが努力することで、いつかウイルスを抑えることができる日が来るかもしれない。

みんなで力を合わせれば、きっといつか世の中を変えていける。環境もその一つのはず。ウイルスに対して向けた注意を、一人ひとりが同じように環境に対しても向けることができたなら、私たちはきっと、もっと大きく環境改善を実現することができるのかもしれない。

当たり前の日常が、当たり前にあったことの素晴らしさを、そしてライフスタイルをエコにすることの大切さを、いつもとは違う時差出勤をすることで考えることができた。大切なのは、気づくこと。健康を保ち、いつでも心の余裕を持って。コロナで疲れていたはずの気持ちに、なんだか少しだけ力が湧いてきた。


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「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する「製品への買換え」、「サービスの利用」、「ライフスタイルの選択」など地球温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」をしていこうという取組です。 未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?

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