カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

※ここでの温室効果ガスの「排出量」「吸収量」とは、いずれも人為的なものを指します。

カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があります。

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として、

世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて
2℃より十分低く保つとともに(2℃目標)、
1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)

今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること

等に合意しました。
この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。

なぜカーボンニュートラルを目指すのか 気候危機を回避するため、いまから取り組む必要があります

世界の平均気温は2020年時点で、工業化以前(1850~1900年)と比べ、既に約1.1℃上昇したことが示されています。このままの状況が続けば、更なる気温上昇が予測されています。

世界の平均気温の変化:1900年から2023年までの各年ごとの平均気温を、1991年から2020年までの平均気温からの差として示したグラフ(※出展:気象庁)
「世界の平均気温の変化」の画像を拡大表示

また日本の平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.30℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。

日本の平均気温の変化:1900年から2023年までの各年ごとの平均気温を、1991年から2020年までの平均気温からの差として示したグラフ(※出展:気象庁)
「日本の平均気温の変化」の画像を拡大表示

近年、国内外で様々な気象災害が発生しています。個々の気象災害と気候変動問題との関係を明らかにすることは容易ではありませんが、気候変動に伴い、今後、豪雨や猛暑のリスクが更に高まることが予想されています。日本においても、農林水産業、水資源、自然生態系、自然災害、健康、産業・経済活動等への影響が出ると指摘されています。
こうした状況は、もはや単なる「気候変動」ではなく、私たち人類や全ての生き物にとっての生存基盤を揺るがす「気候危機」とも言われています。

オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って
温暖化を1.5℃(>50%)に抑える全てのモデル化された世界全体の経路、
そして温暖化を2℃(>67%)に抑える全てのモデル化された世界全体の経路は、
この10 年の間に全ての部門において急速かつ大幅な、
そしてほとんどの場合即時のGHG排出量の削減を伴っている。
世界全体でのCO2排出量正味ゼロは、これらのカテゴリーの経路において
それぞれ2050年代初頭及び2070年代初頭に達成される(確信度が高い)。
(AR6 SYR SPM B.6)
将来の温暖化水準に応じた世界の排出経路
(出典:IPCC第6次評価報告書統合報告書)

地球温暖化における影響について、1.5℃と2℃の間には、地域的な気候特性に明確な違いがあると予測されています。

気候変動の原因となっている温室効果ガスは、経済活動・日常生活に伴い排出されています。国民一人ひとりの衣食住や移動といったライフスタイルに起因する温室効果ガスが我が国全体の排出量の約6割を占めるという分析もあり、国や自治体、事業者だけの問題ではありません。

電気・熱配分前の2021年度CO2排出量においては、
エネルギー転換部門からの排出(40.4%)が最も大きく、
次いで産業部門(25.3%)、運輸部門(16.7%)の順となっている。
電気・熱配分後の2021年度CO2排出量においては、
産業部門(35.1%)からの排出が最も大きく、
次いで業務その他部門(17.9%)、運輸部門(17.4%)の順となっている。
日本のCO2部門別の排出量
(出典:環境省「2021年度温室効果ガス排出・吸収量(確報値)概要」)

カーボンニュートラルの実現に向けて、誰もが無関係ではなく、あらゆる主体が取り組む必要があります。

将来の世代も安心して暮らせる、持続可能な経済社会をつくるため、今から、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、取り組む必要があります。

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