気候変動の国際会議COP29の結果概要とその成果
~国際交渉の現場と日本の取組について~(2/2)
2024年11月11日から11月24日に、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンの首都バクーで開催されました。日本からは、浅尾慶一郎環境大臣のほか、環境省、経済産業省、外務省をはじめとする関係省庁の関係者が各種会合等に参加しました。
今や、気候変動COPは世界最大規模の国際会議であり、世界中の政策方針に多大な影響を与える存在となっています。この記事では、COP29を振り返り、その結果の概要についてわかりやすくご紹介します。
気候変動対策にかかる日本の取組の発信
日本主導のイニシアティブの発表
NDCと透明性向上に向けた共同行動
世界で気候変動緩和に向けた取組推進が求められる中、日本政府は、「NDCと透明性向上に向けた共同行動」を発表しました。これは、各国がNDC(国の決定に基づく貢献)に基づき緩和の取組を着実に実施し、透明性を確保してその実施状況を世界と共有できるよう、国際的な協力の下での共同行動を促進するものです。
イニシアティブでは、
- 「ネットゼロ」「サーキュラーエコノミー」「ネイチャーポジティブ」のシナジーアプローチ
- 二国間クレジット(JCM)といった、国際協力や市場メカニズムを通じた緩和の拡大
- COP29議長国アゼルバイジャンのイニシアティブである「バクー世界気候透明性プラットフォーム(BTP)」と連携した世界の透明性向上の促進
の3つの共同行動を掲げています。
ジャパン・パビリオンでの発信
COP29にて、環境省は「ジャパン・パビリオン」を会場内に設置し、再エネ・省エネ・適応・炭素利用・資源循環・生物多様性の保全・汚染の防止、福島の現状といった、幅広い技術・取組を発信しました。
今回は、パビリオンでの実地展示として、計11社が出展し、技術・取組を発信しました。
また、今回もウェブ上でバーチャル展示を設置し、39社の技術展示等を行いました。
ジャパン・パビリオンでは、展示のほか、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)、JCMパートナー国会合、アジアでの気候情報開示、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)、トランジション・ファイナンス、削減貢献量、産業脱炭素化等など約40のセミナーが開催されました。連日盛況で、100か国を超える国々の人が来場しました。
国際イニシアティブへの参加表明
そのほか、日本政府はCOP29期間中に、気候変動に関する以下の国際イニシアティブに参加を表明しました。
おわりに
COP29では、2035年までの途上国への気候資金目標額について、少なくとも年間3,000億ドルの資金拠出を行うことで合意しました。また、長年合意に達していなかった、パリ協定第6条についても合意がなされ、第6条に基づく国際的な炭素クレジット取引の円滑な実施に向け、前進しました。
次回のCOP30の開催地は、ブラジルのベレンで、2025年11月に開催予定です。
今後とも環境省は日本政府の一員として、1.5℃目標の実現に向けた取組を推進し、国際的な議論を先導してまいります。