気候変動COP30@ブラジル・ベレンの展望
~日本の脱炭素や気候変動適応の取組を世界に発信~
2025年11月10日から、ブラジル・ベレンにおいて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第30回締約国会議(COP30)が開催されます。
気候変動COPは、地球温暖化をはじめとする気候変動問題に対し、世界各国が協力して取り組むための国際会議であり、世界最大規模の環境関連会議として、各国の政策や国際的な枠組みに大きな影響を与えています。
この会議には、環境省をはじめとする関係省庁が日本政府代表団として参加し、約2週間にわたり、世界中の国々と気候変動に関する問題や取組について議論・意見交換を行う予定です。あわせて、COPの機会を通じて、日本が誇る脱炭素や気候変動適応に貢献する環境技術や先進的な取組を世界に向けて積極的に発信します。
今回は、気候変動COPの概要やCOP29での主な成果を振り返るとともに、COP30における議論の展望や、現地及びオンラインで展開される、ジャパン・パビリオンの情報発信の内容についてご紹介します。
気候変動COPとは
COP(コップ)とは、締約国会議(Conference of the Parties)の略称で、多くの国際条約で加盟国の最高決定機関として設置されています。
なかでも国連気候変動枠組条約(UNFCCC)* のCOPは、198の国や国際機関が参加する世界最大の気候変動に関する国際会議であり、毎年開催されています。
この会議では、世界中の国々が集まり、気候変動に関する問題や取組について議論を行い、具体的な行動計画の策定や国際的な合意形成がなされます。気候変動問題は国境を越えた地球規模の課題であり、その解決には国際社会が連携して取り組むことが不可欠です。このような背景から、COPは多国間での合意形成を進めるために、きわめて重要な役割を果たしています。
また、COPは各国の政府関係者だけでなく、学者、NGO、ビジネスリーダーなど、さまざまなステークホルダーが参加し、多様なテーマに関するイベントやセッションが開催され、気候変動に関する最新の知見や技術、政策の共有や議論が行われる場でもあります。
今回のCOP30は、森林減少が深刻なアマゾン熱帯雨林の中心部に位置する都市・ブラジルのベレンが開催地であることに加え、近年、気候変動と生物多様性損失の統合的な取組が国際的に主流化しつつあること、さらに議長国ブラジルが「バイオエコノミー」という新たな経済モデルを提唱していることなどから、「ネイチャーCOP」としても大きな注目を集めています。
* 国連気候変動枠組条約(UNFCCC):1992年5月に採択され、1994年3月に発効した気候変動に関する国際枠組み。大気中の温室効果ガス濃度を安定させること目的に、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約である。
COP29の振り返りとCOP30の展望について
COP29の振り返り
前回のアゼルバイジャン・バクーで行われたCOP29では、パリ協定の実効的な実施に向けて、資金支援の枠組みや市場メカニズムの整備、国際協力の強化など、複数の重要な分野で前進が見られました。以下に、主な成果を紹介します。
COP30の展望
COP30では、これまでの議論や成果を踏まえ、各国政府や関係機関に対して、より具体的かつ実効的な行動を促すことが期待されています。特に、緩和・適応・資金といった主要分野における議論が焦点となる見込みです。以下に、主な議題を紹介します。
COPは、こうした国際交渉の場を提供することに加え、各国や国際機関が自らの取組を「情報発信」する場としての役割もあります。以下では、COP30で日本が展開するジャパン・パビリオンについて、その内容をご紹介します。
ジャパン・パビリオンのご紹介
COPでは、国際交渉と同時に、各国や国際機関が展示やセミナーのためのスペースを設け、気候変動にまつわる研究や事業の成果などを発表しています。
今回のCOP30において、環境省では、「ソリューションを世界の隅々へ」をテーマに、我が国の優れた技術や取組を情報発信するため「ジャパン・パビリオン」を設置します。
パビリオンでは、日本の気候変動対策の長期目標である「2050年ネット・ゼロ」の実現と世界の脱炭素化や気候変動への適応を支える技術・製品・サービス等の展示を行うほか、日本国内や世界中の国々からご参加頂けるオンラインによるセミナーやバーチャル展示を実施します。
オンラインセミナー
セミナーは主に日本政府が企画しており、気候変動についてさまざまな分野から議論するほか、最新の研究や取組等を紹介するイベントも開催します。
以下のほとんどのセミナーはオンラインでご参加いただけますので、ぜひご参加ください。
(各セミナーの開始時間をクリックしていただくと、ZOOMが開き、セミナーにご参加頂けます)
バーチャル展示
開催地での展示に加え、61件の技術・製品・サービス等を環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)ウェブサイトにてバーチャル(オンライン)展示を開催します。
各バーチャル(オンライン)展示の詳細は、以下の展示事業者一覧からご覧ください。
COP30 ジャパン・パビリオン・バーチャル展示事業者一覧
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| プライム・スター株式会社 | 出展: プライム・スター株式会社 やんばるの森から世界へ - 日本の離島が実証する、エネルギーと防災の未来図 |
| カナデビア株式会社 | 出展: カナデビア株式会社 廃棄物資源をまるっと使い切って世界の日常を脱炭素 |
| 三菱重工業株式会社 | 出展: 三菱重工業株式会社 水素・アンモニア、CCUSバリューチェーン構築に向けた三菱重工グループの取組 |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [エネルギー転換] 非化石エネルギー活用時のグリッド安定に貢献するソリューション(日立) |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [エネルギー転換] 持続可能なモビリティソリューション(日立) |
| アルハイテック株式会社 | 出展: アルハイテック株式会社 廃アルミを使ったグリーンな水素およびグリーンな水酸化アルミニウムの製造とその利用 |
| 日揮ホールディングス株式会社 | 出展: 日揮ホールディングス株式会社 廃棄物を原料とするSAF(Sustainable Aviation Fuel)製造技術 |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| ダイキン工業株式会社 | 出展: ダイキン工業株式会社 省エネと快適性を両立する、全熱交換機による換気と空調を用いた温湿度最適制御システム |
| SPACECOOL株式会社 | 出展: SPACECOOL株式会社 放射冷却素材「SPACECOOL」による温暖化適応策及び緩和策 |
| 株式会社竹中工務店 | 出展: 株式会社竹中工務店 脱炭素社会を目指したZEB設計ビジネスの展開 |
| ニデック株式会社 | 出展: ニデック株式会社 [熱マネジメント] AI社会を支える:ニデックグループの技術・製品紹介 |
| ニデック株式会社 | 出展: ニデック株式会社 [発電・蓄電・充電・変電] サステナブル・インフラとエネルギーの追求 |
| ニデック株式会社 | 出展: ニデック株式会社 [動力→熱] 産業の生産効率化:ニデックグループの技術・製品紹介 |
| ニデック株式会社 | 出展: ニデック株式会社 [電力→ 動力] より良い生活の追求 Better Life:ニデックグループの技術・製品紹介 |
| ニデック株式会社 | 出展: ニデック株式会社 [電力→ 動力] モビリティ イノベーション:ニデックグループの技術・製品紹介 |
| 清水建設株式会社 | 出展: 清水建設株式会社 バイオ炭を活用した環境配慮型建設資材 |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [エネルギー需要増への対応] サステナブルなデータセンター(日立) |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| 株式会社sustainacraft | 出展: 株式会社sustainacraft ブラジルのNDC達成に貢献する持続可能な森林管理の促進のための高効率かつ拡張性の高い森林分析技術 |
| サグリ株式会社 | 出展: サグリ株式会社 衛星デジタル土壌マップと農家活動可視化による農地サステナビリティ解析 |
| 株式会社アークエッジ・スペース | 出展: 株式会社アークエッジ・スペース 衛星を活用した地理空間情報プラットフォームの災害対応・環境監視・気候変動適応型農林水産業等への応用 |
| 日本工営株式会社 | 出展: 日本工営株式会社 ブルーカーボン創生支援システム「MobaDAS」 |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| つばめBHB株式会社 | 出展: つばめBHB株式会社 植物残渣を活用した低温低圧合成アンモニアによる循環型低炭素窒素肥料プロジェクト |
| 株式会社 明治 | 出展: 株式会社 明治 カカオ未活用部位アップサイクルから生まれた生分解性プラスチックと世界初素材化したカカオセラミド |
| ダイハツ工業株式会社 | 出展: ダイハツ工業株式会社 農工連携で実現する地域循環型脱炭素モデル |
| (株)平和化学工業所 | 出展: (株)平和化学工業所 廃棄物を資源化するバイオプラスチック製造技術 |
| 株式会社ヘミセルロース | 出展: 株式会社ヘミセルロース ブラジル/中南米 廃棄植物(カカオ、コーヒー、アサイー等)生分解性バイオプラスチック「HEMIX」 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 総合建設コンサルタントによるエコタウン開発計画 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 国産杉が香る木粉簡易トイレによる減災・防災・地域創生 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 資源化項目の拡大に係る技術支援 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 廃棄物コンサルタント事業 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 開発途上国でのごみ組成調査計画の策定と実施支援 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 廃棄物焼却発電施設の導入支援技術(計画・入札支援・設計監理・施工監理・運営監理・解体監理) |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 準好気性廃棄物埋立(福岡方式)の計画・設計・入札支援・施工監理技術 |
| 株式会社エイト日本技術開発 | 出展: 株式会社エイト日本技術開発 プラスチックの資源化促進支援 |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| 株式会社フルッタフルッタ | 出展: 株式会社フルッタフルッタ サステナブルプラットフォーム |
| 日本CCS調査株式会社 | 出展: 日本CCS調査株式会社 CCSの実用化に向けた日本CCS調査の取組~苫小牧CCS実証試験及びCO2船舶輸送実証試験 |
| 戸田工業株式会社 | 出展: 戸田工業株式会社 酸化鉄を核とした革新的カーボンマネジメント技術 |
| 日東電工株式会社 | 出展: 日東電工株式会社 脱炭素と資源循環に貢献するNittoの膜分離技術(CO2分離膜・アルコール分離膜・水処理膜) |
| 一般社団法人カーボンリサイクルファンド | 出展: 一般社団法人カーボンリサイクルファンド カーボンリサイクルに係る連携プラットフォーム |
| 株式会社トロムソ | 出展: 株式会社トロムソ カーボンクレジット創出を果たすバイオ炭及びバイオ炭施用技術 |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| 独立行政法人国際協力機構(JICA) | 出展: 独立行政法人国際協力機構(JICA) JICAの気候変動対策への取組 |
| 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム | 出展: 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム SENSING BAR:農地や山林で電気を自給しながらセンシングデータを送信するセンシングバー |
| 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム | 出展: 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム MICRO-CONDUCTOR:空間の湿度や呼気を利用して微弱な電気を集めるマイクロコンダクター |
| 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム | 出展: 一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム STAND ALONE LIGHT:災害時やオフグリッド環境で自立した照明として機能するスタンドアロンライト |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [緩和と適応] 洪水シミュレータ「DioVISTA/Flood」、浸水予測 Web サービス「FloodS」(日立) |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [緩和と適応] ブルーカーボンのための栄養塩供給管理プロジェクト(日立) |
| 富士通株式会社 | 出展: 富士通株式会社 海洋デジタルツイン |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| 国立研究開発法人 海洋研究開発機構 | 出展: 国立研究開発法人 海洋研究開発機構 海洋環境モニタリングシステムの開発 |
| 日本生命保険相互会社 | 出展: 日本生命保険相互会社 日本生命ネイチャー・ファイナンス・アプローチ |
| 事業者名 | 出展技術・サービス概要 |
|---|---|
| 株式会社ナンバ | 出展: 株式会社ナンバ フロン漏えい検知システム「フロンキーパー」 |
| 株式会社estoma | 出展: 株式会社estoma AIを活用した評価機関対応効率化及びESG情報統合管理システム |
| 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 | 出展: 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 グリーンスローモビリティ、エコドライブ、グリーン経営認証制度、環境的に持続可能な交通(EST) |
| 株式会社みずほフィナンシャルグループ | 出展: 株式会社みずほフィナンシャルグループ お客さまのサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX) 支援 |
| 株式会社ダイセキ | 出展: 株式会社ダイセキ 産業廃棄物リサイクルと再生燃料による温室効果ガス及び化石燃料使用量の削減 |
| 北九州市 | 出展: 北九州市 日本を代表するサステナブルシティ「北九州市」を支える”利他”と”再生” |
| 公益財団法人国際環境技術移転センター | 出展: 公益財団法人国際環境技術移転センター 企業等のGHG排出量削減に関する意識啓発、伴走型支援 |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [エネルギー転換] 原子力技術(日立) |
| 株式会社日立製作所 | 出展: 株式会社日立製作所 [エネルギー転換] 水素ソリューションと研究開発(日立) |
| ZET-BASE KYOTO | 出展: ZET-BASE KYOTO 脱炭素関連スタートアップのインキュベーションのための施設&ソフト事業 |
| 富士通株式会社 | 出展: 富士通株式会社 Sustainability Value Accelerator |
| GREEN×EXPO協会 | 出展: GREEN×EXPO協会 GREEN×EXPO 2027 |
出展企業プレゼンテーション
以下リンク先では、COP30ジャパン・パビリオンに出展する企業によるプレゼンテーション動画(各企業ショート動画をつないだもの)を公開しています。1時間程度にまとめていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
おわりに
COP30での議論の総括、そして、ジャパン・パビリオンを通じた情報発信の結果については、会期後に脱炭素ポータルのトピックスにおいてご紹介する予定です。引き続きご注目ください!