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再生可能エネルギーのススメ「自家消費型太陽光発電」
①電気代削減、防災対策その効用とは?屋根の上を有効活用!

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普及啓発
自家消費型太陽光発電のイメージ画像

「2050年ネット・ゼロの実現」――。政府が掲げるこの目標を達成するための重要なカギを握っているのがバイオマス、風力、水力、地熱、太陽光などの再生可能エネルギー(再エネ)です。中でも太陽光発電は国土面積当たりの導入容量が主要国で最大となるなど着実に導入が進んでおり、再エネの柱とも言える存在です。

一方で、適地不足や地域住民との摩擦など、メガソーラーともいわれる大規模な太陽光発電の拡大には課題もあります。そこで政府が今、力を入れているのが企業、自治体などへの「自家消費型太陽光発電」の普及です。自家消費型太陽光発電とは、どういったもので、そのメリット、課題とは……。今回は、実際の例も紹介しながら、自家消費型太陽光発電の導入拡大を目指す動きを3回にわたってリポートします。

工場の屋根に設置された太陽光パネルの写真
工場の屋根に設置された太陽光パネル

曲がり角を迎える大規模太陽光発電

2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」は、「再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する」とうたっています。その上で、2040年度には総発電電力量の4~5割程度を再エネで賄うとの見通しが示され、そのうち太陽光発電は「23~29%」と最も大きな割合を占めています。

一方で、同計画は「太陽光発電の年間導入量は、地域と共生しながら効率的に事業が実施できる適地の不足等を背景に、FIT※制度導入当初に比べて低下している」とも指摘しています。そもそも一定程度の広さの適当な土地が少ないことに加え、安全、防災、景観、生物多様性に影響を及ぼすとの懸念から近年、メガソーラーの建設を巡って地域住民と事業者の間で摩擦やトラブルが相次いでいることが、その背景にはあります。

このため政府は2025年12月、「大規模太陽光発電に関する対策パッケージ」を、関係閣僚会議で決定。「国富流出の抑制やエネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーを始めとする国産エネルギーの確保が極めて重要」とした上で、「地域との共生が諮られた望ましい事業は促進する一方で、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要がある」との考えを明確に示しました。

※FIT…再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff)の略称。再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が決まった価格で決まった期間、買い取ってくれる制度

エネルギー受給の見通しのイメージグラフ。エネルギー消費量が減少し、再エネの割合が増加するグラフです。
「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」(令和7年2月 資源エネルギー庁)より

「カギを握るのは中小企業」

そんな中で、政府が力を入れているのが建物の屋根などに設置する自家消費型の太陽光発電です。

「大規模な土地開発により太陽光発電施設を建設していくのは難しくなっています。そうなると、再エネの目標を達成するためには、屋根の上に設置していく必要がある。屋根の上は次の『フロンティア』なのです」

環境省地球温暖化対策課課長補佐の小林駿司さんはこう話し、「カギを握るのは中小企業への浸透」だと指摘します。

「大企業はESGの考え方が浸透してきているため、着実に進捗が見られます。これを中小企業に広げていかない限り、政府が掲げている高い目標は達成できないのです」

※ESG…企業の長期的な成長や投資判断に「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3要素を重視・評価する考え方。

環境省も導入支援を展開

環境省では、中小企業を含む民間企業等に対し、自家消費型の太陽光発電及び蓄電池の同時導入を支援することで、ストレージパリティ※の達成に向けた支援を展開。民間企業や地域の脱炭素化を進め、地域共生型エネルギー社会の加速化を目指しています。

ストレージパリティの達成に向けた自家消費型太陽光発電及び蓄電池導入についての表
環境省資料より

また、太陽光発電の設置場所に着目。自然環境に配慮し、農地や水面などを活用した太陽光発電の導入支援や、駐車場等を活用したソーラーカーポート等の導入なども支援しています。

農地を活用した太陽光発電の写真
出典:TODA農房常総合同会社
駐車場等を活用したソーラーカーポートを上から撮影した写真
出典:片山工業株式会社、ひろぎんリース株式会社
駐車場等を活用したソーラーカーポートの横からの写真
出典:片山工業株式会社、ひろぎんリース株式会社

※ストレージパリティ…太陽光発電の導入に際して、蓄電池を導入しないよりも蓄電池を導入した方が、経済的メリットがある状態のこと。

再エネ100%目指す「再エネ100宣言 RE Action」

行政とはひと味違うアプローチで、太陽光発電をはじめ再エネ導入を中小企業などに拡大していこうという動きもあります。

再エネ100宣言 RE Action(アールイー・アクション)」(以下RE Action)は、企業、自治体、教育機関、医療機関などが、自らの使用電力を100%再エネに転換する意思と行動を示すことで、社会全体の再エネ利用を促進していこうという取り組みです。The Climate Group(TCG)が運営する国際イニシアチブ「RE100」の参加対象となる大企業(年間消費電力量50GWh以上等)以外の規模の小さな企業・団体が参加できる枠組みとして2019年にスタートし、2025年7月現在、373者が参加しています。

「『環境に優しい経営をしていこう』という思いを持っている中小企業の経営者は、様々な業界業種にいます。そういった方々の受け皿になり、使用電力の100%再エネ化を目指す動きを広げていきたいと考えています」

一般社団法人再エネ100宣言RE Action協議会(RE Action協議会)の理事を務める小山貴史さんは、こう話します。

小山さんはエコハウス専門の注文住宅の設計・施工を行う工務店「エコワークス」(本社:福岡市)を2004年に創業。環境にフォーカスした先進的な住まいづくりに取り組み、経済産業省や環境省の住宅関連の検討会などで委員を歴任してきました。そのかたわら、RE Actionに発足当初から参加するなど、中小企業などの再エネ転換を促進する活動にも積極的に関わっています。自身の会社も使用電力を再エネに切り替え、2020年から6年連続で再エネ率100%を達成しているといいます。

RE Action協議会理事の小山貴史さんの写真
RE Action協議会理事の小山貴史さん。自身が経営する工務店でも再エネ100%を連続達成している

中小企業を結集し社会にインパクトを

RE Actionはどのような活動を展開しているのでしょうか。

「参加団体は、遅くとも2050年を期限に使用電力を100%再エネ化する目標を設定し、公表します。また、100%達成の目標年が2030年以降の場合は、中間目標を設けることを求めています。その上で、参加団体は、消費電力に占める再エネ比率を毎年報告し、その内容は年次報告書などで公表されます」

「全体の温室効果ガスの排出量のうち1、2割が中小企業から排出されたものです。量としては少ないという見方もできるでしょうが、企業数で見ると中小企業は99%を占めています。脱炭素に向けた世論喚起という側面で見ると、中小企業が結集していくことが、社会に大きなインパクトを与えることになると思います」

小山さんは、日本経済の中で圧倒的なウエイトを占める中小企業とその経営者、従業員の間に、脱炭素に向けた意識を醸成していくことの意義をこう強調します。

電気代を大幅削減。社内外に副次的効果も

では、再エネへの転換は、企業・団体にどのような効用をもたらすのでしょうか。

小山さんは「第一には、会社や工場の屋根に太陽光パネルを設置して、発電した電力を自家消費することで電気代が安くなるというメリットが明確に創出できることです」と話します。その上で、社員が自社の活動に誇りを感じたり、採用活動でアピールポイントになったりと社内外で副次的な効果があると指摘します。

2025年に参加企業・団体を対象に実施したアンケート調査(複数回答可)では、「企業価値の向上、他社との差別化につながった」との回答が135でトップ。他にも「パートナーシップや信頼関係の構築につながった」74、「メディア以外(取引先、社内)からの反響や営業があった」38、「メディアで紹介された」34、「商談につながった」23――など、前向きな回答が多くを占めています。

自由記入欄には、「ロゴを名刺などに記載することにより、商談の際のアピールやお客様への安心感につながった」、「新聞やテレビで紹介され、講演依頼や訪問が増えた」「プレスリリースや決算説明資料、サステナビリティーレポートへの掲載を通じて、投資家や同業他社からの反響があった」など具体的な声が寄せられています。

電気代の削減といった直接的な効用以外にも有形無形の前向きな影響を、参加企業・団体の多くが感じていることが分かります。

再エネ100宣言後の反響のグラフ。「企業価値の向上、他社との差別化につながった」が最多。
再エネ100宣言後の反響について(RE Action協議会提供)

社会貢献と経済メリットを両立。「是非関心持って」

小山さんは、再エネへの転換を検討している、あるいは検討しているが二の足を踏んでいる経営者に向けて、こうメッセージを送ります。

「脱炭素社会の実現という大きな目標に会社として役に立てると同時に、電気代の削減という経済的メリットも合わせて実現できます。災害対策の観点からも自家消費型太陽光発電は緊急時の電源としても有効で、おそらく全ての中小企業にとってプラスの効果があると思います。是非とも再エネに関心を持ってもらいたいし、企業の再エネへの転換を支援しているRE Actionの活動にも賛同をいただければと思います」

この記事に関してのお問い合わせ先

環境省 地球環境局地球温暖化対策課