2016.07.07

Fantastic Night　～あかりを消すと広がる世界～
＜第3回＞見上げればそこにある、素敵な夜空

COOL CHOICE編集部

＜第3回＞見上げればそこにある、素敵な夜空

街中にあかりが増えたことで、夜でも明るくなりました。それに伴い見えにくくなったのが、夜空に瞬く星たちの姿。天体観測スポットが減っているとの声もあります。
それでも時期や場所を選べば、十分夜空を楽しむことができるそうです。『東京星空散歩』の著者で、天体写真家の林完次さんにお話を伺いました。

街中でも、星は見えている！？

生まれも育ちも東京の林さん。5歳の時、懸賞で当たった望遠鏡で見た満月がきっかけで、天体観測に目覚めたそうです。今でも五反田で、星座教室や天体観測会を行ってらっしゃいます。
「１等星～２等星ぐらいなら肉眼でも見えますよ。特に大気の透明度が高い、雨上がりの夜がベストです。かつては、オリオン大星雲やアンドロメダ銀河がくっきり見えていました。“今夜は星がよく見えるね”と参加者と話していたのを覚えています」
やはり地上が明るいと、肉眼はもちろん望遠鏡を使っても、見える星は限られてきてしまうといいます。
「当たり前のことですが、地上のあかりは控えめな方がよりたくさんの星が見えますし、星座や星雲などを探す楽しみも増えますね」
例えば、東京なら上野恩賜公園や石神井公園のような、敷地がある程度広く、木立などで照明が隠れる場所に行けば、星が見られるそうです。
「特にお薦めの時間帯というのはないんですよ。日が暮れたら、空を見上げてみてください」
夕暮れ～夜になる時に現れるトワイライトブルーの空も美しいので、その瞬間を目で見て味わってほしいと話してくださいました。

東京・清洲橋の上に現れた夜空と、トワイライトブルーに染まる街並み。（撮影：林完次）

夏ならではのイベントや天体ショーも！

2016年も8月1日～7日に、国立天文台や天文振興財団が中心となって「スター・ウィーク～星空に親しむ週間～」が行われます。幅広い年齢層の方に、星空に親しんでもらうために催されているキャンペーンで、有志による天体観望会などのイベントが、全国各地で開催されます。星空に興味はあるけど何をしたらいいのか分からない！という方は、参加してみてはいかがでしょうか？

さらに！今年の8月12日ごろ、晴れていればペルセウス座流星群が観測できるそうです。今年は流星群の活動が活発なので、例年より多くの流星が見られるかもしれないといううれしい予測も。林さんが観測のコツを教えてくださいました。
「月が沈む22：00以降が見頃です。ペルセウス座は北東に見えますが、どこを向いていても大丈夫。1時間に約60の流星が降り注ぐという予想なので、空を見上げていれば見られるはずです」
さらに、同じ時期の南西の夜空では、月と火星、土星、そしてさそり座の1等星アンタレスが接近する様子も見られるとのこと。この夏だからこそ星たちが見せてくれる姿、見逃せませんね。

あかりを消して、夏の夜空を眺めてみませんか？

外出しなくても、夏の夜空を楽しむことはできます。林さんも、『東京星空散歩』のあとがきで書かれています。
「部屋の電気を消し、窓越しに夜空を眺めるのもいいものです。風の音、樹木の匂いなど、今まで気づかなかったものが身近に感じられるようになり、星の瞬きが分かるようになります」

7月7日（木）の20：00～22：00には、ライトアップ施設や家庭の照明の一斉消灯を呼び掛ける「クールアース・デー　ライトダウン」が行われます。
昨年の7月7日には、2万4,242施設がライトダウンのサイトに参加登録しました。登録された削減消費電力量は37万7,551.71kWh、約208tのCO2排出削減量でした。一人でも多くの方が参加すれば、さらに大きな効果が期待できます。
この夏は、部屋の照明を消して窓から夜空を眺める時間を設けてみませんか？今まで気付かなかった何かを見つけられるかもしれません。