エコノミーでエコロジー
日本を活性化させている「シェア」という文化

COOL CHOICE編集部
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一般社団法人シェアリングエコノミー協会
代表理事 上田祐司さん

カーシェアリングをはじめシェアハウスや民泊など、日本においても「シェア」という意識が波及し、文化として根付き始めています。特に経済面での期待は高く、2016年には「シェアリングエコノミー協会」も設立されました。このシェアという意識や文化は環境面においてどのように貢献しているのでしょうか。同協会の上田理事にお話を伺ってきました。

シェアから派生したシェアリングエコノミー

―シェアリングエコノミーとは、どういったものなのでしょうか?

空きスペースや車、そしてスキルのような無形のものも含めた「遊休資産」を、余っている間「シェア」することでより有効に活用しようというものです。主にインターネット上のサービスを利用して行われています。

 

―その市場規模は、今後5年で約1.7倍(矢野経済研究所推計)、経済効果は10兆円台(新経済連盟試算)にもなるといわれていますが、シェアリングエコノミーが広まるきっかけは何だったのでしょうか?

インターネット、さらにはスマートフォンの普及が大きく影響しています。今後IoT(モノのインターネット)が普及したら、もっとパワフルになると思いますね。

 

―さらなる普及と成長が見込まれる中、2016年1月15日(金)、シェアリングエコノミー協会が正式に発足しました。その背景を教えてください。

一つは、もっと多くの方にシェアリングエコノミーについて関心を持ってもらうために、ムーブメントを起こす必要を感じたからですね。もう一つは、いかにトラブルなく安心安全に使っていただけるか、シェアリングエコノミーに携わる企業間でノウハウの共有をする必要があると思われたからです。並行して政府や自治体の皆さんとも、“どういった未来を共に描いていけるのか”といった視点から情報交換やディスカッションを行っています。

―「シェアリングエコノミーの普及活動」「企業間での交流・勉強会の実施」「会員向けサービス開発」の3点が、主な活動内容だと伺いました。中でも地方における普及活動には注力されていらっしゃいますね。

直近では、2016年9月19日(月)に福岡県福岡市で『SHARING CITY FUKUOKA 2016』を開催しました。福岡の皆さんと「シェアによる都市づくり」を一緒に考えるパネルディスカッションや、シェアリングエコノミーを体験できるブースを出展するなど、地方在住の一般消費者の方にもっと広く知ってもらい、使っていただくことを目的に行いました。今後もこういったイベントを開催していく予定です。

シェアを、流行ではなく概念として根付かせたい

―「平成28年(2016年)熊本地震」の際には、シェアリングエコノミーによる災害支援活動を実施されたそうですね。

協会会員企業が運営するサービスを活用した、ライドシェア(相乗り)、キャンピングカーの無償貸し出し、一部駐車スペースの無料化、災害支援募金活動などを行いました。ライドシェアサービス「notteco(のってこ!)」によるキャンピングカーの無償貸し出しでは、同時に提供してくれる方も募集したのですが、プレスリリース後から絶え間なく貸し出しのメッセージをいただき、結果数十台も集まったんです。日常的な稼働率が低いキャンピングカーということもあり、ある程度の台数は見込めましたが、それを超える反響を見たときに“シェアにはダメージを埋めるパワーもあるのではないか”と、可能性を感じました。

 

―環境面においては、どのような貢献ができるとお考えなのでしょうか? 特に関連が深いと思われる空間についてお聞かせください。

実は、空きスペースがあること自体が無駄なんですよね。それらを有効活用できれば、新しくつくらなくてもいいはずです。人についても同じようなことが言えます。朝1,000人がオフィスに出勤して夕方その1,000人が退勤するスタイルを見直して、自宅近くのコワーキングスペースやレンタルオフィスで働けるようにする。すると会社側も大きなスペースを確保する必要がなくなるなど負担が減らせます。物事を一つ一つ考え直していくと、需要と供給のギャップが埋まっていき、無駄な消費が減らせると思います。

 

―モノの所有についても同様でしょうか?

家族間では所有という感覚はありませんよね。その延長上で、同じマンション内で自動車をシェアしたらどうでしょう。渋滞を減らせる可能性が高まりますし、過剰にモノを作る必要がなくなるのではないでしょうか。

 

―空きスペースや自動車など、これまで当たり前だった使い方を見直していくことが、環境面での寄与につながるとお考えなのですね。

ただし、利便性が伴わないと普及・波及は難しいので、そこは確保したいですね。シェアという行為が広がっていくと、ゆくゆくは孫の代まで大切に使おうとする意識が醸成され、結果的に環境面でプラスに作用すると考えています。

―今後の活動のビジョンをお聞かせください。

シェアを“流行”ではなく“概念”として根付かせたい。そのためにもムーブメントを起こすこと、法整備を進めることが急務となりますし、政府や自治体などとの連携や検討会なども重要です。また、IoTが広まると、これまでモノ⇒人⇒スマートフォンだったものがモノ⇒スマートフォンになり、使い勝手がますます良くなります。企業が提供するシェアサービスの利用は盛んなだけに、今後は個人対個人の利用を促進していきたいですね。

 

無駄な消費と過剰なモノ作りをなくし、今あるモノを大事に使い続けることを考えさせるシェアという文化と、そこから派生したシェアリングエコノミー。今後は、経済面はもちろんのこと環境面でも大きく寄与する可能性を秘めており、「COOL CHOICE」が目指す低炭素社会実現に向けたアクションの一つといえるでしょう。

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