温暖化対策も水泳も、小さな努力が実を結ぶ
―オリンピックメダリストに学ぶ目標達成の秘訣―
水泳の国際大会などで世界を回るうちに環境問題に関心を持つようになったという、シドニーオリンピック銅メダリストの田中雅美さん。「ウォータープロジェクト」などの水に関する問題を中心に、ご自身のライフワークとして環境問題に取り組んでいらっしゃいます。そんな田中さんに、アスリートならではの低炭素社会実現へのヒントを頂きました。
日本では当たり前になりつつあるエコ活動。だからこそ、目標を持って取り組みたい
オリンピックや国際大会など、水泳選手としてさまざまな国を訪れたご経験のある田中さん。「海外ではごみの分別があいまいな国も多くありました。でも、日本では分別に気を使っている方が非常に多いと感じます。ごみの分別、クールビズ実施時のエアコン温度設定などさまざまなことについて、細やかに気を使うことがよく浸透しているのではないでしょうか。家電メーカーや自動車メーカーなど、省エネ製品も進化していて日本の企業努力もすごいですよね。しかし、こうした環境への取り組みというのは、続けていかないと意味がありません」と日本のエコ活動への意識の高さを実感しているとのこと。
また、「日本では当たり前に浸透しつつあるこの温暖化対策の活動も、目標を持って継続することが大切」とアスリートとしての経験から得た目標の立て方についてアドバイスを頂きました。
「例えば水泳教室では、『オリンピックで金メダル!』など、大きな目標を立てることも大切ですが、まずは小さな目標を立ててもらうようにしています。それを達成したら褒め、また新しい目標を立てるということを繰り返して、少しずつ伸ばしていきます。大人も同じで、褒められたらうれしいですよね?前月の電気代から○○円下がったとか、自分を褒めてあげたりすると、温暖化対策の活動も続けやすいのではないかなと思います。自分ができたことをどんどん積み上げていって、環境にこれだけ貢献している、効果があった、などという情報がもっと分かりやすく皆さんに伝わると、モチベーションも上がるのではないでしょうか。省エネ製品も一気にたくさん買い替えることはできませんが、一つ一つエコ化していくことはできそうですよね」
そんな田中さんご自身も、生活の中でできる“小さな目標”を立てて実践しているそう。「日常生活の中で、小さなことでも意識して実践しています。電気をこまめに消す、ごみはきちんと分別するといったことはもちろん、家電を買い替えるにしてもできるだけ環境にいい製品を選ぶようにしています。節水シャワーヘッドやハイブリッドカー、LEDの照明などを使っていますが、これからも省エネにつながるものはできるタイミングで積極的に取り入れていきたいですね。気付いてみたら、かなりやっていますね。例えばファッション。寒かったら1枚着る、といったことを心掛けていますが、おしゃれとエコが両立できるようなものがあるなら、間違いなくそれを選びたくなります。また、どんな選択肢があるのか知ることが、COOL CHOICE(賢い選択)につながると思うんです。そのためにも、今まで経験したことや学んだことを、講演やメディアなどを通じて伝える努力をしていこうと思います」
環境への意識が高まったのは、ツバルの現実を目の当たりにしたから
日常生活でも多くのエコ活動に取り組まれている田中さんですが、そのきっかけの一つが2008年の南太平洋の島国・ツバルへの訪問だったそうです。美しい珊瑚礁に囲まれたこの島は、まさに「楽園」という言葉がぴったりで美しい景観に恵まれています。しかし、ツバルは別の意味でも有名な国。それは温暖化が原因とされる海面上昇によって、島そのものが水没してしまうかもしれない“沈みゆく国”でもあるのです。
「海面上昇の危機にさらされていることが、ツバルではすでに日常化していることに一番驚きました。例えば、陸地でも満潮になると海水が上がってきて、水浸しになってしまうような場所があるんです。ただ、それが一時的なことではなく、ツバルの人たちにとっては日常のことなんですね。よく『2100年には海面がどれだけ上昇して……』といった話がありますが、ツバルではまさに今、目の前にその状況が起こっているということに強い衝撃を受けました」とツバルを訪問された当時の印象を語る田中さん。
また温暖化の影響についてはご自身の地元・北海道の最近の気候からも気になることがあるとのこと。「北海道といえば、夏は涼しいもの。でも、最近は蒸し暑い日が増え、猛暑日を記録した日もあるとニュースで報道されています。以前は真夏でも扇風機で十分しのげていたのに、今ではエアコンをつけなければ過ごしづらい日もあって、夏バテをしたという声もよく聞かれるようになりました」
日本の環境問題への取り組みを、世界にアピールしたい
「環境問題への取り組みは、続けていかないと意味がない」と語った田中さん。2020年の東京オリンピックでは、日本の文化やおもてなしだけでなく、環境問題に対する意識や取り組みをアピールする機会でもあると注目しているそうです。一人一人ができることを増やしながら、家族や友達と意識を共有し合い、またそれを世界に広げていくことができたら、低炭素社会が今よりもっと身近なものとなるのではないでしょうか。
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