専門家が考える「2030年の暮らし」
すべての家電がネットでつながり、
快適さと省エネを実現する暮らしに
消費電力は下がるが、新しい家電も増え続ける
2030年度の日本では、2013年度と比べて、温室効果ガスを26%削減するという目標を立てています。もともと家電業界は省エネ基準が厳しく、次々と新しい削減目標が設定される「トップランナー方式」で省エネ化を進めています。例えば冷蔵庫は、2021年にエネルギー消費効率を22.0%改善する予定とのこと。こうした実績を見ても、家電だけで考えれば、26%削減は軽々とクリアできる数字だと思います。
そのころには、省エネ機能がさらに進み、個々の家電の消費電力はダウンしています。ですが、生活をより便利にする家電の種類は増え続けそう。プラスマイナスすると、家庭内での消費電力はそれほど変わらないかもしれませんね。ただその分、暮らしの快適性については大幅にアップしているでしょう。
家電すべてをネットでつないで、スマホで管理
近未来の家電のキーワードは「IoT(Internet of Things)」。「モノがインターネットに接続される」という意味で、一部の機種ではすでに始まっています。2030年にはクラウドを介して、家中すべての家電がネットでつながっているのが標準になると思います。
スマホのアプリを使って、家族みんなの生活に合わせて家電の動かし方をプログラムしたり、外出先からの操作もできるようになります。冷蔵庫が庫内をセンサーで感知して、足りない食材をネットスーパーに発注するなど、まるでロボットのような役割も。これまでの家電の使い方とは、大きく変わってくるでしょう。
IoTでピークカットを実現して、大幅なCO2削減に
「IoT」で家電をコントロールすると、電力のピークタイムを分散できるので、CO2削減にもつながります。例えば朝、家族全員が外出した10~11時ごろに、自動お掃除ロボットと洗濯機を動かし、昼間の電力ピークは何も使わないように設定。夕方のピークタイムにも、帰宅時間を考慮しつつ、キッチン家電やエアコンを時間が被らないよう考えて動かします。このように、家庭の人数や生活スタイルに合わせて、効率的に電力を使えるようになります。
そして、1日の消費電力が平準化すれば、ピークに合わせて電力をつくっている発電所の稼働を減らすことも可能になりそう。発電時に排出されるCO2が、大幅に削減できると思いますね。
家が大きな家電となり、快適さと省エネを作り出す
CO2削減には、自然エネルギーによる発電も欠かせません。住宅を建てる際には、地域によって太陽光パネルが標準装備になるでしょう。ビルの窓で太陽光発電ができる装置も開発されており、ますます重要視されていくと思います。
自宅で作った電気を使い、IoTで家全体がひとつの大きな家電になる未来がやってきます。家電はロボットのように動いて、人が何もしなくてもさらに快適に。もちろん、省エネも実現する暮らしになると予想しています。
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