気象予報士に教わる、
これからの天気と私たちにできること<第2回>

COOL CHOICE編集部
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第2回:NPO法人 気象キャスターネットワーク
気象予報士 天達武史さん

NPO法人 気象キャスターネットワークに所属する気象予報士の皆さんにご登場いただくインタビュー連載企画の第2回は、フジテレビ系列『情報プレゼンター とくダネ!』のお天気コーナーでおなじみの、天達武史(あまたつ たけし)さんにお話を伺いました。(2016年11月8日取材実施)

猛暑の取材が、いつの間にかゲリラ豪雨の取材に

―天達さんは、気象予報士としてはもちろんのこと、地球温暖化防止コミュニケーターとしても積極的に活動されています。そのきっかけを教えていただけますか?

2002年に気象予報士の資格を取得し、2005年から『とくダネ!』でお天気コーナーを担当し始めました。番組では、屋外で中継を行うことも多く、とくに夏場は猛暑の取材によく出向きます。でもここ数年、猛暑の取材に出たはずが、いつの間にかゲリラ豪雨の取材をしていた、なんてことが増えたんです。この10年の間にも、気候はだんだんと変化しているんですね。そのことを実感し、「天気を伝えるうえで、気候変動は無視できない」と考えたことが、地球温暖化防止コミュニケーターとなったきっかけです。

地球温暖化防止コミュニケーターとは

―講演やイベントなどでは、どのようなお話をされることが多いのでしょうか?

地球温暖化など環境問題の専門家が発表した内容を、身近な天気の話題などに置き換えて、よりわかりやすくお伝えするようにしています。また、子どもたちに向けて科学の実験を行うこともあります。例えば、ペットボトルに水とCO2を入れて振ると、ペットボトルがキュッとつぶれてしまう。これは水がCO2を吸収するために起こるんですが、このような実験を行いながら「海水はCO2を吸収してくれているんだよ」と話すと、子どもたちにも理解してもらいやすいですね。

子ども向けイベントの様子

このままだと、クリスマスツリーがモミジに!?

―秋になると、紅葉について伝える機会が増えるかと思います。その年ごとに、また場所によって紅葉の色づきに差があるのはなぜでしょうか?

紅葉がキレイに色づく条件は3つあるといわれています。1つ目は「朝と昼の寒暖差が大きいこと」、2つ目は「適度な湿度があること」、3つ目は「日照時間が長いこと」。また、台風は潮風を運んでくるので植物によっては悪影響を受ける場合もあります。実はこれらが複雑にからみあっているんです。

―2015年は平年より見頃が遅くなったところが多かったようですが、2016年はどうでしょうか?

紅葉の見頃は、9月の気温をもとに算出することが一般的で、低いと早く、高いと遅くなるといわれています。2016年の9月は、2015年より気温が高かったので紅葉の見頃も2015年より遅く、例年よりも遅めだったところが多いと思います。ただ、10~11月に気温が急激に下がると、色づきが早まることがあるんですよ。そういったことから、例外として早まったエリアがあったかもしれませんね。
実は、10年ごとに紅葉の見頃は約3日遅くなっており、このままいくと2050年頃には、クリスマスが紅葉の見頃になってしまう所がありそうです。このまま地球温暖化が進んでしまうと、モミジにクリスマスイルミネーションを施す…なんてことが起きてしまうかもしれませんね。

―秋の風物詩としての紅葉を守っていくには、私たちは個人として、どのような行動をすればいいでしょうか。

あまり難しく考えすぎず、身近な、すぐに始められるようなものを見つけてもらえればいいと思います。例えば、植樹に参加したり、屋上緑化に協力したりするなど、緑を増やしていくことも地球温暖化対策につながります。何より、そういった活動を始めたらできるだけ継続していただきたいですね。続けることが肝心です。
加えて、「気象の変化が激しくなってきている」ことを理解してほしいです。地球温暖化の影響は単に気温が高くなることだけではなく、突然の豪雨など激しい気象が増えることでもあります。気象の変化を認識したうえで、豪雨による洪水や突風などに備えてください。

お話を伺って

いつも笑顔で天気を伝えている天達さん。しかし、「地球温暖化などの影響による、気象の激的な変化をわかってほしい」と話されているときは、熱のこもった口調で厳しい表情をされていました。紅葉を秋の風物詩として残すためにも、そして気象の急変による災害から身を守るためにも、天達さんたち地球温暖化防止コミュニケーターによる取り組みや働きかけに耳を傾け、低炭素社会実現につながるアクションを続けていきませんか?。

天達武史さん

NPO法人 気象キャスターネットワーク 所属。フジテレビ系列『情報プレゼンター とくダネ!』の気象キャスターを務めている。ファミリーレストランでの勤務経験を生かし、地球環境を思いやりながら買い物・調理・食事・片づけを行う「エコ・クッキング」にも注力している。

「エコ・クッキング」は、東京ガス(株)の登録商標です。
NPO法人 気象キャスターネットワーク
<取材撮影協力>タールムビアンコ

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