気象予報士に教わる、
これからの天気と私たちにできること<第3回>
第3回:NPO法人 気象キャスターネットワーク
気象予報士 今村涼子さん
地球温暖化防止コミュニケーターでもある、NPO法人 気象キャスターネットワークに所属する気象予報士の皆さんにご登場いただくインタビュー連載企画の第3回は、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』のお天気コーナーを担当している気象予報士、今村涼子さんにお話を伺いました。
※地球温暖化防止コミュニケーターとは
https://ondankataisaku.env.go.jp/communicator/#section_about
冬の気温は高くなっている!
―2016~2017年の冬は、暖冬ですか? それとも寒冬ですか?
北海道の一部は、平年よりも気温が低い地域がありますが、日本全体で見ると暖冬傾向にあります。今冬は特に12月が暖かかったですね。1月中旬に日本列島を寒波が襲いましたが、これは北極から寒気が流れてきて、その寒気が大陸からの高気圧に押された結果、日本列島にとどまり続けたためです。
―ここ最近、暖冬が増えてきているように思いますが…?
東京の気温が0℃未満になる「冬日」の日数を見てみると、1950年代は年間35日以上ありましたが、2000年代以降は年間3〜4日しかありません。これは地球温暖化と、都市化によるヒートアイランド現象の影響が大きいと思われます。また、もっと長い100年くらいの期間で見てみると、札幌と東京の冬の最低気温の平均が、6℃近くも上がっています。確かに、暖冬は増えてきたといえますね。
21世紀末には、1月の東京の朝の気温が3月並みに!?
―暖冬でも急に寒波が来るなど、日によって寒さが大きく変わることもありますよね。
気温が上がっているといっても、ずっと暖かいわけではありません。東京でいえば、1月13日には最高気温が13℃ありましたが、翌14日には約半分の6℃に下がりました。急に寒くなったり、局地的に大雪が降ったりと、短い期間で寒暖の差が激しくなるのは、地球温暖化の影響ともいわれています。
―この先、日本の冬はどうなりますか?
1月の東京の朝の気温は、だいたい1℃くらいが平均ですが、地球温暖化がこのまま進むと、21世紀末には5℃くらいまで朝の平均気温が上昇する可能性が指摘されています。5℃というと、東京だと3月の朝の気温と同じくらいですね。暖冬は、過ごしやすいイメージがあるかもしれませんが、様々な影響が考えられます。たとえば水。雪って、日本にとっては大切な水資源なんです。それまで雪として水をためてきたのに、雪が少なくなるとそれができなくなり、春先に水不足が起き、そのことで農作物に影響が出るかもしれません。
―この先、短い間で寒暖の差が激しくなることが増えるとなると、着るものにも迷いますね。
寒波到来の情報は、番組の天気予報コーナーでも重要視しています。前もって寒さや雪への備えができるように、できるだけ毎日の天気予報に耳を傾けていただきたいですね。私たち気象予報士も、毎日反省し、日々勉強して、正確な情報をお伝えできるよう頑張ります!
お話を伺って
暖冬が増えつつあること、21世紀末には平均気温が+4℃前後も上がる予想があることなどを伺いました。このまま地球温暖化が進むと、冬の象徴である雪の降る期間や量が減ってしまうだけでなく、春の桜開花への影響も大きいとのことです。冬と春の訪れを告げる風物詩を残すためにも、今村さんたち地球温暖化防止コミュニケーターによる取り組みや働きかけに耳を傾け、低炭素社会実現につながるアクションを続けていきませんか?
今村涼子さん
NPO法人 気象キャスターネットワーク 理事を務める。テレビ朝日『スーパーJチャンネル』では気象キャスターとして活躍中。駅や電車内、街頭などで周囲の服装や会話をチェックしながら通勤し、その様子をもとに、その日の企画を考えることも多いという。
NPO法人 気象キャスターネットワーク
http://www.weathercaster.jp/
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