『エコジョーズ』と『エネファーム』、どう違うのかご存じですか?

COOL CHOICE編集部
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  • 省エネ

TVCMなどでよく目にする『エコジョーズ』(上記写真左)や『エネファーム』(上記写真右)、そして『エコキュート』。「たぶんガスや電気を使う給湯器のことで、きっとエコなんだろう」くらいのイメージはあると思いますが、実際にどんな違いや特徴があるのか、分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、『エコジョーズ』と『エネファーム』について、日本ガス石油機器工業会と日本ガス協会にお伺いし、それぞれの特徴などを聞いてきました!

捨てられていた排気熱を再利用する『エコジョーズ』

―まずは『エコジョーズ』の仕組みについて、日本ガス石油機器工業会の中村豊さんに聞きました。

『エコジョーズ』は、一言で言うと「排気熱を再利用した、高効率ガス給湯器」です。給湯器は、ガスを燃焼させて、その熱で水を温めてお湯を沸かすのですが、その際に約200℃ほどの排気熱が出ます。
従来の給湯器は、その排気熱を水蒸気にして捨てていましたが、『エコジョーズ』はこの排気熱を再利用して、計2回、水を温めるんですね。結果、排気熱を約50〜80℃ほどまで下げ、熱効率を従来の約80%から約95%まで高めることができました。

従来型とエコジョーズとの比較:日本ガス石油機器工業会 提供

―熱効率が高まると、どんなメリットが生まれるのでしょうか?

第一に、少ないガスでお湯を沸かせるので、ガス料金を節約することができます。お湯の使用量によっても変わってきますが、4人家族の一例(*)ですと、年間で約1万6,000円の節約になりますね。
さらに、CO2排出量は約13%も削減することができます。家庭のエネルギー消費のうち、約27.8%は「給湯」によるもの(「エネルギー白書2016」より)なので、高効率給湯器が各家庭に普及すれば、CO2排出量をかなり減らすことができるでしょう。
(*)東京ガス調べ。試算条件:木造戸建住宅120平方メートル 4人家族の一例 給湯負荷16.3GJ/年間 床暖房負荷9.0GJ/年間 ガス料金は〈暖らんぷらん〉家庭用ガス温水床暖房契約+エコ割(東京地区等)の平成25年12月時点の平均原料価格に基づく税込金額。ご使用量によって節約金額は異なります。

―買換えや導入のタイミングは、いつが目安になりますか?

家を新築されるときや、機器の取替えどきですね。ガス給湯器の点検・取替えの目安は約10年です。導入費用は従来の給湯器よりも割高になりますが、お客さまの家族数や使われ方にもよりますが、数年で価格差は回収することができます。また最近は、賃貸マンションでも取り入れられており、近年は年間90万台以上を出荷。多くの皆さまにご利用いただいています。

―なるほど、高効率で環境性に優れ、節約にもつながる給湯器が『エコジョーズ』というわけですね。

「例えば、お風呂の見守り機能の搭載により入浴事故を未然に防いだり、停電時にも使える機能など、単に高効率なだけでなく、どんどん進化した『エコジョーズ』が発売されています」と話す、日本ガス石油機器工業会の中村さん。

ガスを使って自宅で発電する『エネファーム』

―続いて、『エネファーム』の仕組みについて、日本ガス協会の山田真弘さんに伺います。

『エネファーム』は、「ガスを使って発電する家庭用燃料電池」です。原理としては、都市ガス・LPガスから取り出した水素と、空気中の酸素を電気化学反応させて発電します。また、このときに発生する排熱を使ってお湯を沸かし、タンクに貯めて給湯に利用します。タンクのお湯が無くなった場合や暖房使用時は『エコジョーズ』などのバックアップ給湯器でお湯を作るため、快適で省エネな暮らしが実現できます。
『エネファーム』の総合エネルギー効率は約85〜95%LHVであり、火力発電所の利用効率が約41%LHVであることと比べると、いかに『エネファーム』がエネルギー効率に優れているかが分かると思います。

『エネファーム』の仕組み:日本ガス協会 提供

―具体的なメリットとは、どんなものがあるのでしょうか?

『エネファーム』の導入により、一般家庭の一次エネルギー消費量を約26~30%、CO2排出量を約41~45%(年間約1,500kg-CO2(*) )それぞれ削減することができます。
なお、『エネファーム』には、排熱回収効率が高く、ご家庭のお湯の多くを賄うことができる「PEFC」タイプと、発電効率が高く24時間発電することで、商用電力をより抑えられる「SOFC」タイプの2種類があります。毎日お風呂に入るなど、お湯を多く使う場合は「PEFC」、家庭での電気使用量が多い場合は「SOFC」と、生活スタイルによって最適な機種を選ぶことが可能です。
(*)経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップ(平成28年3月改訂)より

―家庭に導入するとしたら、どのようなタイミングが良いでしょうか?

『エコジョーズ』と同様、家の新築時や、既設の給湯器の取替え時に導入することが一般的です。また、既設のガス給湯器に後付けで設置できる機器も登場しています。環境に配慮した生活を思い立ったときが導入のタイミングといえます。政府は、エネルギーの有効利用を促進することを基本方針とし、家庭用燃料電池(『エネファーム』)を2020年までに140万台、2030年までに530万台普及させることを目標としています。その目標に向けた国や自治体の補助制度・融資制度もありますので、設置するときは、これらの制度を上手に活用してください。

「小さく・安く・より高効率にすることで、戸建住宅はもとより集合住宅での導入も拡大するのでは」と話す、日本ガス協会の山田さん。

お話を伺ってきて

2016年11月、日本は「パリ協定」に批准しました。わが国は、温室効果ガス排出量を2030年度に26%削減(2013年度比)する目標を掲げています。この中で、家庭部門は約4割もの大きな削減が求められています。
この目標を実現するためには、住まいの省エネルギー化が不可欠。そして給湯器を高効率なものに変えたり、家庭用燃料電池を導入することは、住まいの省エネルギー化を着実に前進させてくれるでしょう。
そして、日々当たり前のように使っている給湯器にも、環境とお財布に優しい選択肢があることを教えていただきました。

<取材協力>
日本ガス石油機器工業会
日本ガス協会

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