ご存じですか?省エネ効果が高い家庭用ヒートポンプ給湯器『エコキュート』の仕組みと特徴について

COOL CHOICE編集部
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  • 省エネ・節電

前回は「エコジョーズ」と「エネファーム」について紹介しましたが、今回取り上げるのは家庭用ヒートポンプ給湯器『エコキュート』です。前回同様、なんとなく「エコな給湯器」というのはイメージできるけど、その仕組みや、どれくらい省エネになるのかは、よく分からないという方も多いのでは?
そこで今回は、『エコキュート』を製造している三菱電機群馬製作所にお伺いし、仕組みと特徴について聞いてきました!

空気から熱を取り出す「ヒートポンプ」!

―『エコキュート』の仕組みについて、三菱電機群馬製作所の中山雅勝さん、嶋谷さやかさんにお話を聞きました。

(中山さん)
『エコキュート』は、「ヒートポンプユニット」によって自然の空気中にある「熱」をかき集め、その熱を利用して、お湯を作る給湯器です。ヒートポンプの中には冷媒(れいばい)としてCO2が入っています。

(嶋谷さん)
まず、ファンを回転させてヒートポンプ内に空気を取り込むと、低温の冷媒(CO2)が空気から熱を吸収します。CO2はその先にあるコンプレッサーで圧縮されることで、約110~120℃近くの高温になり、その熱で水を温めるという仕組みです。水を温めたCO2は膨張弁を通すことで低温・低圧に戻され、再び空気中の熱を吸収します。グルグル循環しているんですね。

『エコキュート』の仕組み:三菱電機 提供

―ヒートポンプユニットは、エアコンの室外機に見た目が似ていますね。

(中山さん)
ファンを使って空気を取り込むという基本的な仕組みは、どちらも同じなんです。エアコンは、ヒートポンプを使って、冷房時には室内の空気熱を室外へ、暖房時には室外の空気熱を室内へと移動させることで冷暖房を実現しています。

―温められたお湯はどうなるんでしょうか?

(嶋谷さん)
断熱性に優れた貯湯タンクにためられ、お風呂や洗面台で使用されます。一般的なタンクのサイズは約370リットル(3〜4人用)ですが、毎日お湯をためておけるので、停電時でもお湯が使えます。非常時には生活用水としても活用できますよ。

災害時などには、「貯湯ユニット(お湯をためておく所)」の足元にある非常用取水栓からお湯が取り出せる
貯湯タンクと対で設置される「ヒートポンプユニット(お湯を作る所)」

給湯光熱費は約3分の1に

―どれくらい省エネ効果があるんでしょうか?

(嶋谷さん)
一次エネルギー消費量は、従来型電気温水器に比べ、約30%まで削減することができます。また『エコキュート』は、お湯を作る時のエネルギーの約3分の2を空気の熱からもらうので、電力消費量は約3分の1で済みます。

「今後、増えてくるであろうZEH(*)住宅とともに、さらなる普及が期待できると思います」と中山さん

*ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量がおおむねゼロ以下となる住宅です。

「タンクがあるので、防災機器としての役割も果たせるのでは」と嶋谷さん

―買換えや導入のタイミングは、いつが目安でしょうか?

(中山さん)
家の新築や、給湯器の取替え時にお薦めしています。設置工事が大変そうなイメージを持たれる方が多いのですが、実際には1日で工事は終了しますし、設置したその日から入浴も可能なんですよ。

お話を伺ってきて

2016年11月、日本は「パリ協定」に批准しました。わが国は、温室効果ガス排出量を2030年度に26%削減(2013年度比)する目標を掲げています。この中で、家庭部門は約4割もの大きな削減が求められています。
この目標を実現するためには、住まいの省エネルギー化が不可欠。そして給湯器を高効率なものに変えることは、家庭の省エネルギー化を着実に前進させてくれるでしょう。

<取材協力>
三菱電機 三菱エコキュート(自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機)

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