シェアサイクル活用による持続可能な社会構築への取り組み(株式会社みずほフィナンシャルグループ)

COOL CHOICE編集部
COOL CHOICE編集部
  • ライフスタイル

社員の健康増進だけでなくコミュニケーションの活性化にもつながる

 地球環境の課題を解決し、持続可能な社会を築くための手段のひとつとしてシェアサイクルを導入した株式会社みずほフィナンシャルグループ。社員の健康増進に役立つだけでなく、コミュニケーションが活性化するという思わぬ効果もあったそうです。同社の取り組みを紹介します。

「東京2020ゴールド銀行パートナー」として持続可能な社会の構築に挑む

 あと1年数ヶ月で東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。株式会社みずほフィナンシャルグループは、「東京2020ゴールド銀行パートナー」として大会をサポート。また、東京2020オリンピック・パラリンピックとその先の未来に向けてお客さまとともに成長するための合言葉を「Jump!」と定め、5つのテーマに取り組んでいます。そのテーマのひとつが「サステナビリティ(持続可能性)」です。
 次世代の人々の暮らしを守り、持続可能な社会を築くための具体的な取り組みとして、みずほフィナンシャルグループは子供たちへの金融教育、サッカー日本代表への協賛を活用したサッカー教室の開催などを行っています。そして、株式会社ドコモ・バイクシェアが目指す「持続可能な都市の実現」が、東京2020ゴールド銀行パートナーとして取り組むべき方向と一致していたため、同社が運営する東京都でのシェアサイクルサービスへの協賛を決めました。2017年度からリーディングパートナーとしてサポートを続けています。
 同社でのシェアサイクルの活用方法とそれによる効果、今後の展開について聞きました。

(取材協力:株式会社みずほフィナンシャルグループ コーポレート・コミュニケーション部 ブランドマネジメント室 兼 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会PT 調査役 落合恭子氏)

社内でシェアサイクルのニーズが高まりキャンセル待ちに

 みずほフィナンシャルグループがドコモ・バイクシェアのシェアサイクルサービスに協賛を開始したのは、2017年7月です。私が所属する東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会PTがリーダーシップを取り、経営陣や関連する複数の部署へ提案し、同意を得てスタートしました。私たちの提案が比較的スムーズに社内で受け入れられたのは、早くから省エネ・省資源対策やクールビズの採用など、地球環境の課題解決に向けた取り組みを積極的に行う企業文化が醸成されていたからです。
 シェアサイクルサービスを利用する手段のひとつとして、専用のICカードを使う方法があります。みずほフィナンシャルグループではサービスの利用を希望する部署ごとにICカードの取得申請を行ってもらいましたが、開始当初はそれほど申請数が多くなかったため、用意したICカードが余っていました。
 当社のオフィスが入居する大手町タワーは東京・大手町に立地し、すぐ近くにシェアサイクルの自転車が並べられた「サイクルポート」と呼ばれる駐輪場が設置されています。2018年7月に東京・内幸町にある、みずほ銀行内幸町本部ビルの近くにサイクルポートが設置されるとICカードの取得申請数が急増し在庫はほぼなくなりました。2018年10月に東京・呉服橋にある、みずほ信託銀行新呉服橋ビルの近くにサイクルポートが設置されるとさらに申請数が増え、それ以来ICカードの取得はキャンセル待ちの状態になっています。それほどシェアサイクルのニーズが高まっているのです。

みずほ銀行内幸町本部ビル付近のサイクルポート
みずほ信託銀行新呉服橋ビル付近のサイクルポート

行きたい時間に行きたい場所へ移動できるのが自転車の利点

 以前から大手町と内幸町を移動する社員のために、マイクロバスの定期便を走らせています。しかし、定期便の運行は9時から17時までで、その本数は1時間に数本と限られ、タイミングを逃して利用できない社員もいます。また、利用者が集中する時間帯では、すべての社員がマイクロバスに乗り切れないこともあります。定期便に乗れなかった社員は地下鉄を使って移動するか、時間がない場合はタクシーを利用して移動することもまれにあります。
 シェアサイクルの導入によって、こうした課題を解決するケースも出てきました。社員は自転車を使って、行きたい時間に行きたい場所へ移動できるだけでなく、タクシー代を減らすことも可能です。特に大手町本部とみずほ信託銀行新呉服橋ビル間を自転車移動する社員が多く、新呉服橋ビルのサイクルポート利用は、ドコモ・バイクシェアが集計している週間利用回数で上位にランクされることもあったようです。
 こんなこともありました。東京・竹橋にみずほ情報総研株式会社のオフィスがあり、そこと大手町の間を移動する社員も多くいます。実は、みずほ情報総研のオフィスの近くにも以前からサイクルポートがあったのですが、私たち東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会PTのメンバーはそのことを知りませんでした。ですから、シェアサイクルの導入後も社員に利用を促すことはなかったのです。しかし、自転車で移動することのメリットは社員たちに広く伝わっていたため、私たちがサイクルポートの存在に気がついて利用を促進する前から、大手町と竹橋の間でもシェアサイクルが活用されていたのです。

便利さと楽しさを知ってヘビーユーザーになる社員も現れる

 現在、老若男女を問わず、多くの社員がシェアサイクルを利用しています。中には自転車をビジネス用の移動手段として、まったく考えていなかった社員が試しに使ってみたところ、その利便性と楽しさに魅了されてヘビーユーザーになったケースもあります。そうした社員から「自転車で移動できるのはとてもいいね」と言ってもらえると、導入を推進して正解だったと実感します。
 私自身も東京2020組織委員会のオフィスがある東京・虎ノ門や、イベントの視察のために東京・有楽町にある東京国際フォーラムへの移動手段として、よく自転車を利用しています。
 シェアサイクルの自転車の後輪上部にはドレスガードと呼ばれる部分があり、そこにみずほの東京2020キーメッセージ「Jump!」のロゴが入った広告が貼られているものがあります。私たち東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会PTのメンバーは、そのロゴが入った自転車に「Jump!号」と愛称をつけ、「今日はJump!号で行こう!」などと声を掛け合って移動自体を楽しんでいます。
 以前、当社の社員にシェアサイクルに関するアンケート調査を実施したことがあります。その回答は、「自転車は便利な上にタクシー代の削減にも役立っている」、「業務を遂行する上で欠かせないものとなっている」、「緊急時の移動手段としても有効」、「シェアサイクル協賛を継続してほしい」など、ポジティブな内容のものがほとんどでした。
 一方で「自転車の台数が少ないときがあるので増やしてほしい」、「もっと多くの場所にサイクルポートを設置してほしい」といった回答もありました。

社員同士のコミュニケーション活性化という思わぬ導入効果も

 シェアサイクルの導入効果として、持続可能な社会構築への貢献が挙げられます。そして、それらが地球環境の課題解決にもつながると考えています。
 シェアサイクルを利用できる地域のマップ作成に協力をしたこともあります。街にやさしい自転車を自分らしく乗りこなすことを目的としたマップをつくるため、その地域にあるみずほ銀行の行員が参加し、地域におけるシェアサイクル利用のコツや穴場スポットなどを参加者とともに考えました。地域に寄り添いお客さまや社会に貢献していくという私たちの思いとも一致しています。
 健康経営という面でも効果があります。普段ほとんど運動しない社員が自転車に乗ることで体を動かし、健康を意識するきっかけになっていますし、運動することの楽しみや、自転車に乗って季節の風を肌に感じることがストレス発散になることを知る機会にもなっています。
 また、これは導入後にわかったことですが、社員同士のコミュニケーションが活性化する効果もあります。複数の社員が一緒に自転車で移動するとき、それぞれのスピードに気遣い合ったり、信号待ちの時間などで自然な会話が生まれたり、とコミュニケーションが増え、仕事がよりスムーズに進むことにつながっていると考えています。
 他方、自転車には安全性の面で課題があります。日本の道路のほとんどは自転車走行レーンを備えていないため、関係各所にその整備を求めていく必要があると思っています。また、自転車利用者のマナー向上にも取り組んでもらいたいと考えています。

企業がシェアサイクルを導入することのインパクトは大きい

 みずほフィナンシャルグループは今後もドコモ・バイクシェアのリーディングパートナーとしてサポートを続け、シェアサイクルの認知、普及に努めたいと考えています。
 認知向上のひとつとして、過去にはみずほフィナンシャルグループの公式「Facebook」アカウントで、社員が自転車で移動している写真などを投稿したことがあります。1万以上の閲覧数があり、多くの「いいね!」をもらうことができました。その「いいね!」には、みずほフィナンシャルグループがシェアサイクルをサポートしていることへの「いいね!」、そしてシェアサイクルそのものへの「いいね!」が混ざっていると認識しています。
 個人のシェアサイクルサービス利用者が増えるのはもちろんのこと、企業によるシェアサイクル導入は社会に与えるインパクトがより大きいため、企業ユーザーが増加することもサステナビリティには重要だと考えています。
 みずほフィナンシャルグループは、今後もシェアリングの活用をはじめとする環境への取り組みなどを通じ、社会の持続可能な発展に積極的に貢献していきたいと考えています。

「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?

◆ご賛同はこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/join.html

◆COOL CHOICEとは
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/about/