キヤノンマーケティングジャパン株式会社 カーシェア活用で業務効率化、渋滞緩和にも貢献

COOL CHOICE編集部
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「社内カーシェアリング」に始まり「民間カーシェアリングサービス」を導入。10年間の活動で得た大きな成果とは?

 都市部における交通量の増加や集中に伴い、慢性的な交通渋滞が大きな問題となっています。その解決策の一つとして近年、個人・法人問わず急速に普及しつつあるのが「カーシェアリング」。
 2007年、社用車をシェアリングする制度を立ち上げることでコスト削減や業務効率化を進めてきたキヤノンマーケティングジャパン株式会社では2013年、本格的に「カーシェアリング」を導入しました。
 この10年間の取組みやその成果についてご紹介します。

取材協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社 総務・人事本部総務部総務課 課長 関口雄一郎氏/土屋誠氏/チーフ 髙橋直樹氏
(取材協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社 総務・人事本部総務部総務課 課長 関口雄一郎氏/土屋誠氏/チーフ 髙橋直樹氏)

「社内カーシェアリング」「テレマティクス※1」導入で“シェアメリット”に対する社員の理解度を深める

 私たちが「カーシェアリング」という概念を最初に導入したのは2007年。その当時はまだ世間一般的にシェアリングに対する認知が浅く、まずは社用車の部門管理を総務の一元管理へ変更し、利用者の予約に応じて貸し出す「社内カーシェアリング」制度からスタートしました。
 そして2009年に車両利用における「安全」「環境」「効率」への効果的なアプローチとしてテレマティクスを導入しました。導入当時、全国の各拠点併せて700台以上の社用車がありましたが、その1台1台を「テレマティクス」によって稼働状況をデータ管理することで、効率的な車両運用を実現。社員に対しては「カーシェア」によるメリットを実感してもらうため、カーシェア導入による運用コスト削減の一部を車種や装備(ナビ・ETC搭載)の充実等に充てることで、より快適に、安全に利用できる環境を整備しました。
 また、カーシェアによって随時、他の部署とも車を効率的に融通しあうためのコミュニケーションが活発化したことで「相互理解を深めることによる部署間の連携向上」といった副次的な効果も生まれたのです。

※1テレマティクス:自動車をはじめとした移動体に通信システムを搭載することで、さまざまな情報を送受信できるシステムのこと

民間カーシェアリングサービスの導入による大きなメリットとは?

 社内カーシェアリングによってある程度の成果を生み出しつつも、まだまだ課題はありました。例えば1~2時間利用したい場合で社用車が使えないとき、これまではレンタカー利用で対応していました。しかしレンタカーは、6時間・12時間などの料金設定であるため、短時間利用ではコストが割高になることが課題となっていました。そこで、短時間利用が可能なカーシェアリングサービスが有効と考えました。ちょうど導入した2013年当時は、カーシェアリングサービスが都市部を中心に本格的に普及してきた時期でした。
 この新しいサービスの特徴として、
・最短15分単位で車を利用できる
・都市部を中心に、全国各地の駅前などにある無人ステーションに車が配置されていて、時間の制約なくいつでも手軽に利用できる
・豊富な車種から必要な車を選んで利用できる
・事故に備えた保険も付保されている
といった点が挙げられます。
こうしたメリットによって「必要な時に、必要な時間だけ、最適な場所で、効率よく車を利用できる」カーシェアリングサービス導入を決定したのです。

10年間で運用コストが1/3に。それ以外にも大きな効果をもたらす「公共交通機関とカーシェアの組み合わせ」

 カーシェアリングサービス導入から6年ほど経過していますが、今では毎月約200名が利用しています。特にここ数年は地方で急速にカーシェアリングサービスの拠点が増えていることから、都市・地方関係なく利用が進み、中には月10回以上利用する「ヘビーユーザー」も。
 また、社用車の運用コストも社内カーシェアリング時代から数えて、およそ10年間で1/3にまで圧縮することができました。
 しかし、それ以上に大きな効果をもたらしたのは「公共交通機関と車の利用を上手に組み合わせることで、車に対して過度に依存しない新しい働き方」が普及したことです。車を利用していると、移動中は運転に集中しなければならず、当然ながら他の業務はできません。業務効率の観点から言えば、「非生産的な時間」であると言えます。
 一方、カーシェアリングサービスを有効活用することで「目的地の最寄り駅までは公共交通機関で移動」「駅から目的地まではカーシェアリングを利用」といった、これまでにない働き方が可能に。
・公共交通機関での移動中は「次の打合せの内容整理や、今後のスケジュール確認」をすることで、効率アップが実現。
・車の運転時間が減少するため、肉体的・精神的負担が軽減され、また事故や違反リスクも減少。
・社用車やレンタカーと違って様々な場所でいつでも利用できるので、「直行直帰」等、その日の活動に合わせた効率的な行動計画を立てて実践できる。
など「公共交通機関&カーシェア」による様々なメリットが、社員一人ひとりの働き方を大きく改善しました。
以上の状況が車の使用抑制につながり、車両の運用コスト削減に併せて地球温暖化対策にもつながる行動となっています。

「安全」「環境」「効率」3つのメリットをカーシェアリングによって生み出す

 カーシェアリングサービスを利用することで「安全」「環境」「効率」という3つの点で、それぞれ大きなメリットを得られました。そのうち「効率」「安全」に関しては先ほど触れましたが、実は「環境」についても、社用車で導入した「テレマティクス」によって燃費向上のための運転方法が可視化されたことで、社員の日常の低燃費運転に対する意識が大いに高まりました。
 それらの結果として、移動にかかるコストが2018年度で前年比5%ダウンを実現。またカーシェアリングサービスを積極的に活用することで、
・企業活動における、車の総運転距離の削減
・社員一人ひとりによる、低燃費運転の徹底=「大きなCO2削減効果」を生み出しています。
 また2014年には「エコドライブ活動コンクール環境大臣賞」を受賞するなど、対外的にも当社の取組みが高く評価されています。
 これまで社内におけるカーシェアリング普及に関しては、各拠点の総務課員が中心となって定期的にメリットを周知してきました。そして実際に利用した社員からの「口コミ」によって、その同僚や部下にも広がることでここまで普及したのです。 
 今後はカーシェアリングサービスのメリットをキヤノンマーケティングジャパングループ全社に広めていこうと考えていますが、社外を含む全国的な活用がこれまで以上に広がり、カーシェアリングサービスの利便性が更に向上していくことを期待しています。


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