専門医に聞く!クールビズ【家庭編】 室温28℃で人も地球も健康に

誕生から12年。夏の風物詩となってきた「クールビズ」。涼しく快適に夏を過ごすための「ちょっとした工夫」を、人間の体を多面的・総合的にサポートする医療を推進する医師、馬渕知子院長に伺いました。

「冷え」を退治して家族を健康に

本来、人間の身体にとっていちばん望ましいのは「変わらない環境にいること」なのです。ですから、外気温と室内温度の差が大きいと、体はびっくりして自律神経やホルモンバランスが崩れやすくなります。代謝も落ちるので、食べものの栄養を十分に消化吸収できず、夏バテを起こす可能性があります。免疫力も弱まり、夏風邪なども引きやすくなるのです。つまり、健康のためには、体を「冷やしすぎない」ことが大事なのですね。

「冷え」を退治して家族を健康に

夏こそ適度に汗をかく生活を

クールビズで環境省が推奨する室内温度は28℃。エアコンで体を冷やし過ぎないように、扇風機を利用するなど「体感温度」を下げる工夫をしましょう。冷えに慣れて汗をかかないでいると汗腺が退化して、体温調整機能が働かなくなってしまう危険があり、発育期の子供にとっては大問題。高齢者も体温調整機能が低下しているため、暑さや冷えへの対応が苦手です。適度な冷房使用について、家族が気をつけてあげてください。また汗は肌を守る「皮脂」という天然のクリームになるので、美容面でのメリットも見逃せません。家族の健康にもさまざまなメリットがあるクールビズは、地球にも「人」にもやさしい取組です。

夏の健康を支えるカギは、室温管理

昼間に適度な汗をかき、夜にかけて体温が下がるリズムをつくれば、寝苦しい夜も自然な入眠効果が得られるでしょう。また夏の健康にはよく食べることも大事です。食べることで体温を上げて、代謝アップ、免疫力アップと、体調も整っていきます。
家族の健康のため、室温28℃の“クール”な夏の暮らし方を始めてみませんか?

PROFILE

馬渕知子院長

マブチメディカルクリニック院長/東京栄養食糧専門学院 副校長
東京医科大学医学部卒業後、同医科大学病院に勤務。その後マブチメディカルクリニックを開院。内科学・皮膚科学を専門としながら、あらゆる科と提携し、人間の体を多面的・総合的にサポートする医療を推進中。