国の取組

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた
国の検討と具体的な取組を紹介します

2050年カーボンニュートラルの実現、また、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け挑戦し続けるために、国が検討していること、具体的な取組などを紹介します。

現在、我が国は、年間で12億トンを超える温室効果ガスを排出しており、2050年までに、これを実質ゼロにする必要があります。

このカーボンニュートラルへの挑戦が、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想で、日本全体で取り組んでいくことが重要です。環境省では、新たな地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルに向けた需要創出の観点に力を入れながら、政府一丸となって取組を推進しています。

実現に向けた検討

2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、ロードマップ・法律を策定しました。

環境基本計画

環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めています

「環境基本計画」について 詳しく見る

2024年5月、第六次環境基本計画を閣議決定しました。本計画は、環境保全を通じた「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質の向上」を最上位の目的として掲げ、政府全体の環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めたものです。

(2025年4月時点)

地球温暖化対策推進法

「2050年までの脱炭素社会の実現」法律に位置付けました

「地球温暖化対策推進法」について 詳しく見る

この法律は、1997年に京都で開かれた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択されたことを受けて、日本の地球温暖化対策の第一歩として、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みとして1998年に成立しました。

これまでに合計9回改正されており、地球温暖化対策推進本部の設置や、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の制定、地域脱炭素化促進事業制度などが追加されて今の形になりました。

2024年3月に閣議決定された令和6年改正においては、二国間クレジット制度(JCM)実施体制の強化や地域共生型再エネの導入促進に向けた制度の拡充などに向け、規定の整備を行いました。

(2025年4月時点)

地球温暖化対策計画

我が国の環境保全に関する計画戦略を審議しています

「地球温暖化対策計画」について 詳しく見る

地球温暖化対策推進法に則り、「地球温暖化対策計画」を策定しています。地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、地球温暖化対策の基本的方向や温室効果ガスの削減目標などを定めた政府計画です。
2025年2月には、次期 NDC(温室効果ガス削減目標)を含む「地球温暖化対策計画」が閣議決定されました。

(2025年3月時点)

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

「経済と環境の好循環」作っていく産業政策を策定しました

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」について 詳しく見る

2020年12月25日に開催された、第6回成長戦略会議において、経済産業省を中心に関係省庁も連携して策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が報告されました。
また、2021年6月には更なる具体化を行いました。

2050年カーボンニュートラルの実現は、並大抵の努力では実現できず、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を大きく加速することが必要です。
国として、可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げて、民間企業が挑戦しやすい環境を作る必要があります。
グリーン成長戦略は、成長が期待される産業(14分野)において高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員します。

(2025年4月時点)

地域脱炭素ロードマップ

脱炭素へ「移行」していくための対策・施策を取りまとめました

「地域脱炭素ロードマップ」について 詳しく見る

本ロードマップでは、地域課題を解決し、地方創生に資する脱炭素に国全体で取り組み、さらに世界へと広げるために、特に2030年までに集中して行う取組・施策を中心に、地域の成長戦略ともなる地域脱炭素の行程と具体策を示しています。

2030年度目標及び2050年カーボンニュートラルという野心的な目標に向けて、これから5年間に、政策を総動員し、国も人材・情報・資金の面から、積極的に支援します。
これにより、 ①2030年までに少なくとも脱炭素先行地域を100か所以上創出、②脱炭素の基盤となる重点対策を全国で実施することで、地域の脱炭素モデルを全国に伝搬し、2050年を待たずに脱炭素達成を目指します。

(2021年7月時点)

具体的な取組

2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、様々な取組を進めています。

脱炭素事業への出資制度

脱炭素化支援機構が設立されました

「脱炭素事業への出資制度」について 詳しく見る

環境省は、脱炭素事業に意欲的に取り組む民間事業者等を集中的、重点的に支援するため、財政投融資を活用した脱炭素化支援機構を設立しました。

2022年5月25日に機構の設立やその業務等について規定する「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が成立しました。

200億円の出資を呼び水として、1,000億円程度の規模の脱炭素事業を実現するとともに、新たなビジネスモデルの構築を通じて、数兆円規模の脱炭素投資の誘発に貢献することを目指します。

(2023年12月時点)

環境金融の拡大
(金融のグリーン化)

ESG投融資の普及啓発や地域のESG金融の促進を行っています

「環境金融の拡大(金融のグリーン化)」について 詳しく見る

気候変動対策に資する、ESG投融資の普及啓発や地域におけるESG金融の促進等を実施しています。

また、環境の課題を解決するための行動に資金を流すための方法として、グリーンファイナンスへの注目が高まっています。
環境省はグリーンな資金使途について一定の目線を与えるため、明確な環境改善効果をもたらすグリーンプロジェクトの判断指針や細かなガイドラインを策定しています。

(2025年2月時点)

GX(Green Transformation)の推進

脱炭素経済成長エネルギー安定供給の同時実現を目指します

「GX(Green Transformation)の推進」について 詳しく見る

GX」とは、「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)」のことです。産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させることを意味し、2050年カーボンニュートラルの実現において重要な取組となります。

2025年2月に閣議決定されたGX推進法の一部改正においては、排出量取引制度の法定化やGX分野への財政支援の整備等を行いました。
また、GXに向けた投資の予見可能性を高めるため、GXの取組の中長期的な方向性を官民で共有すべく、「GX2040ビジョン」を策定しました。

環境省としても、GX産業構造の実現に向けて様々な取組を検討・推進しています。

(2025年2月時点)

脱炭素経営への取組

企業による脱炭素経営の取組を促進しています

「脱炭素経営への取組」について 詳しく見る

パリ協定を契機に、企業が、気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBTRE100)などを通じ、脱炭素経営に取り組む動きが進展しています。

環境省では、TCFDの報告書に沿ったシナリオ分析SBT・RE100のための取組など、企業による脱炭素経営の取組を促進しています。

例えばRE100においては、2030年までに再エネ100%の電力調達の達成を目指し、行動計画を策定し順次取組を進めています。また、その取組を通じて得られた知見等をまとめた公的機関のための再エネ調達実践ガイド「気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~」を公表しています。

※RE100とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブです。

(2024年12月時点)

ゼロカーボンシティ表明から実現へ

脱炭素に取り組む地方公共団体を支援しています

「ゼロカーボンシティの表明から実現へ」について 詳しく見る

2050年二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明した地方公共団体が増えつつあります。2025年3月末時点で、1,161の地方公共団体が表明しています。
環境省では、地方公共団体の脱炭素化への取組に対し、情報基盤整備、計画等策定支援、設備等導入を一気通貫で支援していきます。

(2025年3月時点)

地域脱炭素の推進

脱炭素と地域の地方創生の同時実現を目指しています

「地域脱炭素の推進」について 詳しく見る

エネルギー対策特別会計活用した取組

脱炭素化に向けた事業、設備導入等を支援しています

「エネルギー対策特別会計を活用した取組」について 詳しく見る

地球温暖化対策のための税を原資としたエネルギー対策特別会計(エネ特)を活用して、再エネや省エネ設備を導入などの様々な取組に対して、温室効果ガス削減を実現するための補助・委託事業を実施しています。

(2024年10月時点)

デコ活の推進

脱炭素につながるライフスタイル選択できる社会を目指します

「デコ活の推進」について 詳しく見る

気候変動の国際交渉

地球温暖化対策及び気候変動に係る国際交渉を行っています

「気候変動の国際交渉」について 詳しく見る

多くの国際条約で、加盟国の最高決定機関として締約国会議 COP(コップ、Conference of the Partiesが設置されています。1995年から毎年開催されており、198か国・機関が参加する気候変動に関する最大の国際会議です。

COPでは世界中の国々が集まって、気候変動に関する問題や取組について話し合い、具体的な行動計画の策定や国際的な合意がなされます。

2015年に開催されたCOP21では、全ての国が参加する国際枠組みであるパリ協定が採択されました。世界共通の長期目標として、産業革命前からの地球の平均気温上昇を 2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を継続することなどが設定されています。

(2023年10月時点)

JCM都市間連携事業

温室効果ガスの世界的な排出削減吸収に向けて取り組んでいます

「JCM・都市間連携事業」について 詳しく見る

日本は、途上国等に対して、日本の優れた脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラの普及させ、世界の脱炭素化に貢献するとともに、それによって生じた炭素クレジットを我が国のNDC達成に活用する、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)を実施しています。

また、日本の自治体と海外の自治体のパートナーシップを元とし、優れた脱炭素・環境技術を有する我が国企業の海外展開等を支援する「脱炭素社会の実現に向けた都市間連携事業」を実施しています。

(2025年1月時点)

環境白書循環型社会白書生物多様性白書

環境・循環型社会・生物多様性に関する状況と施策をまとめています

「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」について 詳しく見る

毎年、ネットゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ経済の統合的な実現に向けて、環境・循環型社会・生物多様性に関する状況と施策を取りまとめ、公表しています。

令和6年度の白書のテーマは、「自然資本充実と環境価値を通じた「新たな成長」による「ウェルビーイング/高い生活の質」の充実 ~第六次環境基本計画を踏まえ~」です。
本白書では、第六次環境基本計画の内容を中心に、昨今の環境の状況、施策等について概説しています。

(2024年6月時点)

審議会・検討会等

地球温暖化対策推進本部

地球温暖化対策に推進するために内閣に設置されています

「地球温暖化対策推進本部」について 詳しく見る

地球温暖化対策推進法に基づき、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、地球温暖化対策推進本部が設置されています。内閣総理大臣が本部長、内閣官房長官・環境大臣・経済産業大臣が副本部長を務め、その他すべての国務大臣が本部員となっています。

(2021年7月時点)

中央環境審議会

地球環境の保全の調査審議を行うために環境省に設置されています

「中央環境審議会」について 詳しく見る

環境省に設置され、環境基本計画、環境の保全に関する重要事項の調査審議などをつかさどっています。地球環境の保全に係る重要な事項に関することを審議するため、地球環境部会が設置されています。

(2021年7月時点)

カーボンプライシング検討

成長戦略に資するカーボンプライシング検討を行っています

「カーボンプライシングの検討」について 詳しく見る

カーボンプライシングは、炭素に価格を付け、排出者の行動を変容させる政策手法です。

カーボンプライシングは、GXを促進するための方法の1つとして考えられており、2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定された際に「成長志向型カーボンプライシング構想」が打ち出されました。
本構想では、炭素の排出量取引・炭素に対する賦課金制度の導入等の措置が盛り込まれています。

また、本構想は、2025年2月に策定された「GX2040ビジョン」における構成要素の1つとなっています。同ビジョンでは、本構想の基本的な考え方として、事業者の予見性を高め、GX投資の前倒しを促進するための支援・制度一体型の措置であることなどが示されました。

(2025年2月時点)